妖霊戦記ブルーアーク

服部あゆみ

学習研究社 ピチコミックスDXミステリー

全4巻

1巻発行日 1994/7/1

 

「風水(かざみ)斎」シリーズで人気を博した服部先生の作品。

でも、僕は服部先生を実は漫画家として認識していなかった。

「星子ひとり旅シリーズ」という小説のカバーイラストと挿画を担当されていて、そのタッチが好きで、そこから買い始めた漫画家さんだ。

 

「星子ひとり旅シリーズ」は、当時は「ジュニア(ジュブナイル)小説」という読者層を持つ作品で、「ユーモアミステリー」というジャンルだった。ジュニア小説とライトノベル、意味するところは違うけれども、中身は近い。ただジュニア小説には方が純文学の香りが無きにしも非ずだったかなと思う。それはおそらく、純文学作家が若い人向けに書いた、という流れがあったからだろう。エロ小説作家が若い人向けに書いた、という流れもあった。

 

でも、ユーモアミステリーというジャンルは、ほぼ「ライトノベル」と思っていいかもしれないね。

 

で、「風水斎」シリーズは、ホラーでオカルトでファンタジーなのだけど、その不可思議な力の根源が「道教」にある。道教がどういうものか僕は全くわかっていないから、どの程度それが反映しているのかはわからないけど、道教ベースの話って他に知らないこともあって、ちょっとお気に入りだった。

 

さて、「妖霊戦記ブルーアーク」。こちらは作品内容については予備知識ないままに、作家買いでポチった。

とはいえ、服部先生の作品で、「妖霊」だからね。サイキックホラーアクションということになっている。扉がちょっとセラムンっぽい?

 

 

主人公の天鳥が、クラスメートに誘われ、「キューピッドさま」(「コックリさん」の名前と文字配列を変えたもの)をやっていて、半ば陥れられるシーンから始まる。

 

俺少女の狭霧が声をかけてきて「あんな子達と付き合わないほうがいい」と声をかけてきて、どうやら仲の良い二人だとわかる。その後、占いが得意な柚子、アイドル少年龍海などが加わってくる。このあたりが戦記の仲間になる。

 

他に、天鳥が小さい頃から憧れている従兄弟のさんがいる。天鳥は彼のことを「玄にいさん」と呼んでいる。その玄から、身を守るものとして、ブレスレットが贈られてくる。これがまあ、なんというか、力を発揮するそういうアイテムなんだね。

 

 
天鳥のスカートがめくれて、それを下から覗き見上げているのが、アイドル少年。一応、少女漫画なのだけど、少年漫画のサービスシーンのようなのも、当時は普通にあった。
 
 
実はこうして集まって来たメンバーは、既に前世で交流があり、どうやら天鳥だけがその前世の記憶がないのだ、ということがあとでわかる。
 
さて本編。クラスメイトの田代がUFOを召還することで、同級生達はUFOに吸い込まれてゆくというオカルティーな事件が起こる。この時はまだ読者に世界観が示されておらず、たまたま身の回りに起こった怪異な現象である。
 
UFOに生徒達を誘うのは、「高次元の宇宙」から来たという化物。天鳥・狭霧・柚子・龍海が化物を退け、この場はしのげたが、怪異な現象は続く。 このことでようやく、地球に「異界の扉」を開こうとする者共の魔手が迫っていることがわかってくる。
 
ある出来事をきっかけに天鳥は気絶するのだが、その間にようやく天鳥も前世の夢を見て、前世の記憶を取り戻し始める。

前世の夢の中には、現世の周囲の人々が前世にも何らかの役割で登場している。彼ら彼女らは前世の記憶を既に持ち、天鳥の周囲に集まって、再び戦おうとしていたのだ。

 

その前世、どうやら大いなる厄災で滅んだらしい。そして、それと同じ厄災が現世にも襲いかかろうとしている。物語のそこここに、その約歳の手引きをしているらしい者の姿も現れたりする。

 
ネタバレをしておくと、前世を滅ぼしたのは、妖星。天体物理を無視した動きで地球に接近し、異界への扉を開く。その原動力となっているのは、怨み呪いといった人の悪意だった。敵は化物でも宇宙人でもなかったのである。
 
そうして天鳥は、前世から続く仲間の力を借り、最後の戦いに挑む。
 

 
 
 
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