OPEN MIND
芳崎せいむ
講談社 モーニングKC
1巻
発行日 2004/7/23

 

千鳥メンタルクリニックの千鳥先生は美人で、しかも「話しかけやすい」オーラが漂っている。近所の人はもちろん、通りすがりの人からも、なぜだか声をかけられてしまう。でも、ちょっと大雑把。


薬剤師兼受付の女性を「タマちゃん」と呼んでは、その都度「タマミです」と訂正される。それでも千鳥先生は「タマちゃん」と呼ぶのをやめないし、タマミは名前の訂正を繰り返す。どこかチグハグなのに、なんとなくうまくやっているようだ。

 

漫画に登場する精神科は、僕の場合「ブラックジャックによろしく」と「失踪日記」のようなヘビーなものしか知らない。(他に、「マンガでわかる心療内科」があるが、こちらは肌に合わず1巻しか持っていない)

 

「OPEN MIND」は、そこまでヘビーではなく、読みやすいと言えば読みやすいのだけれど、実は「心の病み」は誰にとってもすぐ傍にあるんだよ、と思い知らされる。

 

ある日、千鳥先生はコインランドリーでひどく疲れた様子の中年男性に出会う。面識のない女性から話しかけられ、最初は「ほっといてくれ」といった気分だったその男性も、いつのまにか自分のことを語っている。そして、千鳥先生から「心のお医者さんに診てもらった方が良い」とアドバイスを残し、男性もその気になる。

 

自分が精神科の医者であることは伝えていないし、まさか自分のクリニックに来るとも思っていなかった千鳥先生だが、その男性が患者としてやってきて、思わぬ再会。これがこの作品の第1話である。

 

いいことばかりが続いたときに、心の具合が悪くなることもある、というお話が第2話。第3話は生きる意味がわからないという女子高生の話。医者と患者という立場は貫かれるのだが、「優しさ」や「思いやり」に満ちたハートフルな物語だ。

 

巻数表示に「1」とあるが、「2」巻以降が出ていない模様。

 

(漫画所持作品リスト 1650)