タコピーの原罪
タイザン5
集英社 ジャンプコミックスプラス
上下巻
上巻発行日 2022/3/9
 
上下巻が揃って書店に並んでいた。カバー絵は2冊とも(おそらく)年端もいかぬ少女が涙をボロボロ流しなながら泣いており、「原罪」というタイトルから哲学的な内容を予想させるものだった。
 
しかし、購入してみると、あまりにもお間抜けな風体のタコ型宇宙人が登場。その宇宙人の姿だけだと、ドラえもんやオバケのQ太郎的な画風を思わせる。
 
これである。
 

 
このタコピーのピンチを救ってくれたのが、カバー絵のしずかちゃん。小学生である。彼女の境遇はなかなかに悲惨。母子家庭で家は荒れており、学校ではいじめられている。「地球にハッピーを広めるため」にやってきたタコピーであるから、その使命を全うしようとするが、失敗をしてしずかちゃんは死んでしまう。
 
だが、タコピーには、秘密の道具があり、その道具には時間を巻き戻す機能があった。そこで、やり直しを試みるのだが。
 
色々なことが次から次へと裏目に出てしまい、救いようのない事態になってしまう。
最後は秘密の道具である「ハッピーカメラ」の隠されていた最後の機能で、かろうじて救いのあるお話になるのだが、それまでさんざん「ハッピーカメラ」を使っておいて、ラストに隠し機能が出てくるところに、ちょっとアンフェア感を僕は感じてしまった。
 
そんな第一印象だったが、しばらくすると、「う~ん、なるほど」と思う。
 
年少者が読めばある種の「お伽ばなし」であり、一定以上の年齢の人が読めば、その人なりの解釈が成立する。そのための仕掛けが「原罪」というタイトルなのだろう。
 

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