がらくた屋まん太
能田達規
アスキー出版局 アスキーコミックス
全5巻
1巻発行日 1993/4/22

両親亡きあと、ハイテクジャンクショップを支えるまん太は中学生。先代から仕える凄腕ジジイ技術者吉田と2人で今日も町内をお祭り状態に叩き込む。
 
「おまかせピース電器店」の直系元祖漫画と位置付けて良いとは思うが、設定上の決定的な違いがひとつある。「おまP」は電器店であり、自社製品を販売する。「がらまん」は、ジャンクショップであるから、どこからともなく手に入れた製品の売買を行う。つまり自社開発製品とは限らない、ということだ。
 
なので、第1話から、とんでもないものが登場する。それは、タヌキの置物である。しかも、ほぼ身長は人間と等身大で、そのデカさ重さのために、ジジイ技術者の吉田をぎっくり腰にしてしまうのだ。
 
しかもこのタヌキ、実は置物ではなく、兵器であった。地球防衛隊、略して地衛隊(じえいたい)の備品だったのである。それが制服姿の女子中学生ケイコの目をくぎ付けにする。彼女は一人っ子で友達もいなかったため、父親が旅行(出張?)の土産に買ってきたタヌキの置物をえらく気に入ってしまい、弟のようにかわいがり始める。そして、いつしかタヌキの収集家となり、自室はタヌキの置物であふれかえるようになる。そんな彼女の心を、デッカいタヌキは捕えてしまったのだ。
 
営業中なのになぜか無人になっていたガラクタ屋に、まん太が帰宅。ケイコが値段を尋ねる。さきほど仕入れたばかりのタヌキなので、まん太には値段がわからない。適当に「20万」と答えたところ、ケイコは悲嘆にくれてしまった。そこでまたしても適当なまん太。今度は「2000円」と返事して、売ってしまったのである。
 
そこへ、席を外していた従業員の凄腕ジジイ技術者の吉田が戻ってきて、その正体を明かす。あれは兵器であり、売ってはならないものだ、と。ここに巨大タヌキの置物奪還作戦が始まる。といっても、購入者ケイコのところへ行って頭を下げて代金を返却するだけのことなのだが、これが大騒ぎになる。なにしろ彼女は、タヌキの置物の収集家なのだ。
 
返してくれお願いしますと大騒ぎしているうちに、巨大タヌキの置物(実は兵器)のスイッチが入ってしまい、その所在が地衛隊の知るところとなる。運搬中にトラックの荷台から落ちたもののようで(なんと迂闊な)、取り戻しにやってきて、さらに町内を巻き込んだ大騒ぎになる。
 
設定は違うものの、「おまP」と同様のテイストだ。ていうか、順番からいうと「おまP」が「まん太」のテイストを引き継いでいるのだが。
 
さて、吉田の孫娘に花子という女の子がいる。彼女はしょっちゅうガラクタ屋に出入りしており、祖父とまん太の食事の面倒を見ている。おおむねまん太のガールフレンドである。
 
第2話では、まん太は悪友を呼び出して、海へ行こうと誘う。当然自分も一緒に行けると思っていた花子だが、店のハッピを着せられ、留守番をさせられてしまう。このようにだいたいまん太によって色んな目にあわされる役どころは、「おまP」の主人公である健太郎の彼女、桃子と同じ立ち位置。
 
そこへやってきた美女からの注文を受ける。設計図を元に何かを作って欲しいようだが、それが何かは読者には明かされない。花子の祖父で技術者の吉田がそれを「30分で作りましょう」と不適な笑いを浮かべる。
 
注文主の美女は実は宇宙人で、彼女が依頼したのは、はぐれてしまった仲間を探す装置なのだった。
しかもこの宇宙人が美女なのは地球人に変に思われないためで、実は人型のロボット。宇宙人はこれに搭乗して操作をするのだが、その本体は、古いタイプの典型的な宇宙人、すなわちタコであった。
 
「おまP」と似た設定も多く、動物好きのクラスメイトは、牛を学校につれてくる焼肉屋の息子だったり、ライバル店が登場して馬鹿馬鹿しい競いあいをしたり、スパイみたいなキャラが出てきたりする。鉄道が暴走するのも、お約束(?)
 
どっちかが好きな人は、両方好きになること間違いなし。
 

2462