ラブ★コン
中原アヤ
集英社 マーガレットコミックス
全17巻
1巻発行日 2002/3/30
「大阪の人間が2人で会話してたら、それだけで漫才になる」を地でいくような冒頭シーン。
小泉リサ(15歳・身長170cm)は、「必要以上に背が高い」と称され、身長順に並んだら一番後ろ。ただでさえ目立つのに、朝礼の時に立ったままいびきをかいて寝てしまったために職員室に呼び出された。ギリギリ赤点ではなかったものの、教師からは「罰として夏期講習強制参加」を言い渡される。ここでいう「夏期講習」は、予備校や塾でのそれと違い、成績がよろしくない生徒が参加させられる「補習」のことである。
「背が高くても何もいいことなんかない」と心の中でつぶやいたとき、たまたま職員室にいた大谷敦士(リサのクラスメイト・15歳・身長156cm)が棚の上の物を取ろうとしているのを手伝い、「まあ、しいて言えば高い所に手が届いて便利」とか気を取り直しかける。だが、大谷は、自分が取れなかった棚の上のものをヒョイと簡単にとって手渡した小泉に「イヤミか」と悪態をつく。
もちろんリサは、最高の笑顔で「うん」と答え、大谷は対抗し「どけ、巨女。じゃまや」と叫ぶ。
「人に親切にしてもろといて、巨女てなんや!」と、とうとう二人は職員室で口喧嘩を始めるが、先生から「おい、そこのオール阪神・巨人。痴話ゲンカはよそでやれ」などと言われてしまう。
おまけに小泉と大谷は、夏期講習でも一緒になってしまう。
「そーか、大谷が頭悪いの、忘れとった。そら、おるわ」とリサが言えば、「人のこと言えんのか」と大谷が返す。
こんなやりとりを繰り返すものだから、他のクラスから夏期講習に参加させられていた連中は「ラッキー。あれが噂のオール阪神・巨人か。はじめてみれた」などと喜ばれたりなどしてしまう。
夏期講習の帰り、大谷はリサに「リサが好きらしい鈴木を誘うから、リサは(大谷の好きな)田中千春を誘ってくれ」と取引を持ち掛ける。夏休みになったし、みんなでプールに行こうという作戦だ。もちろんリサはOKする。だが、肝心のプールでは、鈴木はリサに興味はないし、千春は男性が苦手。なかなか打ち解けられない。一方で、これまでの経緯からリサと大谷は結構気が合い、プールでもノリノリで遊んでしまう。ますますオール阪神・巨人コンビは絶好調だ。
それぞれ気になる相手の恋を取り持とうとしたのに、そちらはほぼ前進せず、にもかかわらずリサと大谷は仲良くなってゆくという結果に。
この漫画との出会いはアニメだ。
偶然スイッチを入れたテレビから、軽快な大阪弁のやりとりが流れてくる。でも、「じゃりン子チエ」ではない。設定も状況もわからないけど、なんとなく観てたら、めちぇめちゃ面白い。
「キュン死に」という名セリフも登場する。
身長コンプレックスを2人して叩き合いするから、今この漫画を新規で発表できるのかと考えると不安だけど、コンプレックスを乗り越えてがんばろうって励ましの内容の方が強いし、とっても素敵な恋愛コミック。
(漫画所持作品リスト 1082)