吉田秋生TheBestSelection

小学館 フラワーコミックススペシャル
全1巻
発行日 2009/7/1

 

250ページ近いボリュームに短編7作品を収録。読み応え満点の一冊。

 

「最後の夏」は、高校球児の物語。夏が終わりに近づき、ほとんどの3年生が合宿所を去った。残っているのは、引継ぎ業務のある主将と副主将のみ。その主将のところへ、2年生の次期主将でエースの部員が「話があります」とやってくる。それは、退部の相談だった。理由は「野球を嫌いになったから」……。

そして、その夜、主将と副主将は、生涯はじめてのト〇コ風呂へ行く。

 

あれ? このコミックスは2009年発行で、この頃すでに、この名称は使われていなかったはずだ。作品そのものは発行日よりはるかに古いのだろうけど、そのまま使っているのね~。

 

さて、そのト〇コ風呂で働いていたのは、退部を申し出た部員の姉だった。そこで、二人は事情を知る。

 

「解放の呪文」もスポーツが舞台。こちらはテニスである。

ディフェンディングチャンピオンのタグが決勝で迎え撃つのは、弟である。弟といっても血はつながっておらず、実の親から虐待を受けていたのを救うため、タグの両親が養子として迎えたのだ。

弟となったファーンは、兄が颯爽とテニスの試合で勝つのを見て育ち、またファーン自身も兄からテニスを教わって、腕を上げてゆく。やがてタグのコーチ(チャンピオンを生み出す名コーチとして優秀な人)は、「チャンピオンには用は無い」とばかりに、タグのコーチをやめて、ファーンにつく。

こうして迎えた決勝当日、ゲームはもつれにもつれ……。

 

あらすじでは書ききれないが、そこは吉田秋生先生の作品。物語ひとつひとつの展開に、微細な心の揺れが描かれていたり、描かれてないけど読者はそれを感じずにはいられなかったりの連続。

 

「最後の夏」も「解放の呪文」も、白く眩しい残照を感じさせる作品だ。

 

この他、日本以外が舞台の作品や、ファンタジー要素、微オカルト風味の作品、おふざけで楽しませてくれるコマなど多数。

 

ちょっとだけ、おふざけコマを紹介しますね。

 

 

う~ん、発表年はいつだったんでしょうか。

 

(漫画所持作品リスト 955)