なけなしのラブストーリィ

清原なつの

集英社 りぼんマスコットコミックス

全1巻 1983/11/20発行

 

高校1年生の楢崎ちどりは、なんとなくいやになって家出をして1週間。2月の寒い朝、原っぱで凍死しかけているところ(野宿でもしていたのか?)を、同じ高校の生物教師、宮地一生に助けられた。

「かくまって欲しい」と言われた宮地は、勝手な妄想を暴走させる。「登校拒否」から「家出」、そして「暴力団」に「覚醒剤」といった具合だ。無事でいることを家に連絡することすら拒否した彼女を、「家族へのとばっちりを恐れて」と思い込む念の入れようだ。

 

2人で銭湯に出かけたところを新聞部に嗅ぎつけられ、楢崎ちどりと宮地が一緒に暮らしていることがスキャンダルとして報じられる。宮地のアパートを訪ねてきたちどりの父親を、ちどりは「知らない人」といい、宮地は「ヤクザの親分」が殴り込んできたと判断する。

 

透明感と静けさに満ちた絵柄とは正反対のストーリー展開。宮地の勘違いでしっちゃかめっちゃかになってゆく。やがて宮地は、教師をやめて、楢崎を連れ、郷里の長野県に逃げる決意をする。

 

表題作の他、全5編の短編を収録。

 

(漫画所持作品リスト 935)