真珠とり
清原なつの
集英社 りぼんマスコットコミックス
全1巻 1982/6/20発行
トキオは宇宙船のパイロット。今度の航海は10年。妻のサヨコはいつも通り、コールド・スリープでトキオの帰りを待つ。
トキオが出発したその日、トダという名の中年紳士が彼女の元を訪ねてきた。サヨコとトキオとトダは、学生時代の友人である。トキオはウラシマ効果で、サヨコはコールドスリープで若さを保っていたが、地上勤務を選んだトダだけが、普通に年齢を重ねていた。
宇宙の海に旅立ったトキオは、しかし、無事には戻らなかった。アステロイドベルトの事故で死亡し、その後、記憶だけが取り込まれたアンドロイドとして再生された。
トダはサヨコを目覚めさせ、トキオの死亡を告げた。落ち込むサヨコを慰めるため、「古い友人同士なのだから何も気がねしなくていい」と自宅に招待する。
そこには、トキオも招かれていた。いかにもサイボーグという外見のトキオに、人間だった頃の面影はない。しかし、サヨコは気が付いた……。
未来の宇宙を舞台にした3編のSF恋愛ものの連作「真珠とり」のほか、短編2編を収録。透明感と甘さを兼ね備えた清原先生のSFには、静かに深く、惹き込まれてしまいます。
(漫画所持作品リスト 933)