童の神
深谷陽(作画) 今村翔吾(原作)
双葉社 アクションコミックス
全6巻
1巻発行日 2021/6/10

千年前の京の都。藤原氏が権勢をふるう中、虐げられた者達が、心ある貴族の声掛けで立ち上がった。滝夜叉、土蜘蛛、大江山の鬼など童と呼ばれる人々だ。これをきっかけに、長い闘争が始まることになる。
 
西暦975(天延3)年。ふと見上げた空に、安倍晴明は日蝕の予兆を感じた。太陽がごくわずかに欠けているのである。彼は単なる天体現象であることを悟っていたが、太陽が隠れる凶事で世間が騒がしくならぬよう、また天文博士である自らの役割を全うすべく、「災いを避けたければ全ての罪人を許せ」と帝に上奏することを決意する。
 
この時、都から遠く離れた地で、一人の男児が生まれた。名を桜暁丸という。青年になった彼は、見目麗しく頭脳明晰で運動神経にも優れていたが、太陽が隠れるという凶なる日に生まれたことと相まって、なにかと他人より秀でた(他人と違う)桜暁丸は、世間から奇異の目で見られていた。

だが、「あの日に生まれた者が何人いる」と、父親は意に介さない。それどころか、優秀な家庭教師をつけて、文武ともに成長を促す。

故郷を捨てて逃げねばならなくなった桜暁丸は、やがて童の側に身をおいて、政権との闘争で重要な役割を担うことになる。

迫力あるアクション、二転三転する攻防。虐げられた者たちが望むのは争いではなく、そっと生きていくことなのだが、それは戦いに勝利しなくては得られない暮らし。桜暁丸によってそれはもたらさせるのか? あるいは政権の絶大な力によって押さえつけられるのか。
 

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