メタルハンターズD
たがみよしひさ
潮出版社 潮漫画文庫
全3巻
1巻発行日 2001/12/25
B6版希望コミックスは3巻のみ所持

 スラムと化した旧都。上流階級の住む新都。事故で将来をなくしたレーサーの久我は、Dの機関員として争いに巻き込まれて行く。
 前途有望と目されていた2輪レーサーの久我那允は、レース中の事故で、左目と左腕を失い、その道を閉ざされた。おまけに、マシンガンを使って銀行強盗や警官殺しをしていた連中が暴れ回っていて、無差別に撃った銃弾に当たってしまい、那允は恋人まで失う。

 近未来の東京。何もかも失った那允に差し伸べられた手は、軍隊からの勧誘。それも、一企業の私設軍隊からのものだ。

 一企業が武器も装備した施設軍隊を持つなど非合法なことだが、当局は黙認していいる。多発するテロや犯罪に用いられる威力絶大な武器や特殊装甲服に対抗するには、警察力だけでは叶わないからだ。
 とはいえ、あくまで一企業の施設軍隊。正義の味方を気取っているわけではなく、自社やその関係施設の近くでテロが起こったなど、あくまでその企業に危害が及ぶ場合に出動するための自衛組織だ。

 

 おりしも日本は、特に東京は、人口の爆発的増加に対応するため、東京都心の上部に「新都」を建設、「旧都」はスラムと化し、人々の不満はたまりにたまっていた。一方、上級市民たる「新都」に住む人々は、さらなる上昇志向で人々を踏み台にしている。そこへ「新新都」建設の構想が持ち上がる。「新新都」へ行けるのは、「新都」住民の一部だけ。


 さて、D機関。発足から1年3ヶ月の組織。那允が与えられた番号は28。28人目のメンバーという意味だ。しかし、生存してるのは那允を入れても6人。発足からたった1年3ヵ月で、この生存率。任務の過酷さが伺われる。D機関と称するその自衛組織から、高性能の義眼と武器を仕込んだ左腕を与えられた那允の戦闘の日々が始まる。

 装備を強化する敵対企業、特殊装甲服を導入した警察の特務課。そして、特務課長が実はテロの黒幕。その目的は、テロ対警察の攻防を引き起こすことで警察の装備をどんどん強化し、やがてはひとつの組織として日本を牛耳ろうということではないかと、推測が成り立つ。

 そして、ラストシーン。D機関はおそらく全滅するための最期の戦いに身を投じることになる。

 

(漫画所持作品リスト 862)