間違ったラノベの作り方
松林悟
角川書店 角川コミックス・エース
全1巻 2010/6/4
いや、これはもう、どうしようもなく自分に合わなかった作品でしたね。
ラノベにはほぼ縁がないのだけれど、興味がないというわけではなかった。ラノベという範疇で読んだ作品はおそらく「涼宮ハルヒ」シリーズくらいだが、ラノベにつながるかつてのジュブナイル小説あるいはジュニア小説というのは、それなりに読んでいたからだ。ジャンルとしては、青春小説などとも言われていた。また女性向けの作品は少女小説と呼ばれたりもしていた。小説ジュニアやコバルトといった小説雑誌は、一時期定期購読をしていたくらいである。
ジュニア小説専業作家などがいない頃に、少年少女向きに作品を書いていた代表格としては、富島健夫先生や赤松光男先生、眉村卓先生、光瀬龍先生、筒井康隆先生などの作品を読んでいた。富島先生や赤松先生は純文学の作家で、官能小説作家でもあった。眉村・光瀬・筒井先生はSF作家として知られている。「なぞの転校生」「七瀬ふたたび」「時をかける少女」などは今の若い人でもその作品名を聞いたことがあるのではないだろうか。光瀬先生は、少年チャンピオンで「ロン先生の虫眼鏡」という作品を週刊連載(後に月間チャンピオンに移籍)していたくらいである。
推理系だと僕は、辻真先先生や赤川次郎先生などに親しんだ。
中でも僕は辻先生の大ファンで、リスト化はしていないけれども、所有作品数はおそらく200冊は下らない。漫画化された小説は「宇宙戦艦富嶽殺人事件」くらいしか知らないし、その漫画は所持もしていない(書店で立ち読みしたが、イマイチだったので購入していない。原作本は持っている)が、漫画用の原作として書かれた作品はいくつか持っている。「聖魔伝」(作画石川賢)「バトルナイト剣」(作画岡崎沙美)「魔球エース」(作画庄司としお)「戦国獅子伝」(作画横山光輝)「竜の住む国美夢と魔夢」(作画かづさひろし)などである。漫画のノベライズ本(ルパン三世やドクタースランプなど)もあるし、最近では辻先生による「サイボーグ009」第1期のアニメ用脚本が、漫画化されたりしている。ラジオドラマ化やテレビドラマ化もされているが、残念ながらどちらも聴いたり観たりできていない。映画化された作品もあったかな。
赤川先生の少年少女向き作品は少なく、コバルト系ではミステリーではなく、ファンタジーとオカルトの要素が融合した「吸血鬼」シリーズが人気だった。
この他に、火浦功先生、山浦弘靖先生、岬兄悟先生、久美沙織先生、氷室冴子先生、新井素子先生の作品なども。
そんなわけで、タイトルに若干不安要素がないでもなかったが、最近のラノベ事情なんかも出てくるのかと期待しながら、手に取った。それが大間違いで、悪ふざけ悪ノリの純粋のギャグ漫画だった。ギャグもナンセンスも嫌いではないが、知性の欠片も無く、どこが笑えるのかさっぱりわからない。購入して失敗した3大作品のひとつである。
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