アレルギー戦士

石坂啓 

小学館 ビッグコミックス 

全1巻 1988/4/1 

 

女子中学生のミンコ、コインランドリーで複数の男を相手に売春をする。男達は自分の順番が来るまでは入口で見張り役をつとめる。柄の悪いニイチャンといった風情で、(漫画発表当時そんな言葉はないが)パパ活とかいったものではなく、とりあえず一発やれれば何でもオッケーみたいな感じだ。

 

しかもミンコ、途中でその気が無くなって、全員にヤらせる前に、もう今日は終わりと服を着始める。文句を言う男もいるが、さっきまで自分を犯していた複数の男を前に堂々と終了を宣言。対等の立場で立ち回れるのだ。男の一人に「スベタ」などとも呼ばれている。

 

ミンコが途中でやめたのは、コインランドリーの前での騒ぎが耳に届いたからだ。男達が、浮浪者らしき薄汚れたオヤジがじっとランドリーの方を見ていたのが気に入らず、殴る蹴るを始めていた。その物音が気になったのである。「やめなさいよ、あんたたち」と行為を止めてもいる。

 

コインランドリーを離れたミンコはその足で繁華街をうろつき、仲間のいる店の一軒に入る。その間、浮浪者はずっとついてきては、なんだかんだと話しかけてくる。

 

ミンコが夜の街をうろうろしているのは、過去にはいじめられた経験ももち、今は素行不良で学校を追い出され、といった感じなのだが、彼女につきまとうオヤジは、21世紀から未来を守るためにやってきたという。

 

21世紀はエンズという恐ろしい伝染病に冒されている。その病にかかると人間は、内側も外側もボロボロにされて、生命エネルギーが弱まり、人間の姿はしていても人間でないようなモノになるという。カラダやココロが無機物になってしまう。21世紀はエンズとの戦いだ。だから過去に同士を探しにやっていた。

 

今の世の中にアレルギー反応を示している者は健全だ。健全なものほど息絶え絶えになっている。

 

こうして心を無くしつつある世の中に、オヤジとミンコは 「NO」を言う戦いを始める。

 

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