私は

 

     自分は

 

           この人は

 

 

 

足跡を残さずに

流れて生きたかった。

海が私の足跡を

消してほしかった。

なのに何故か、

何処にでも、

何年経っても、

ずっと誰かに覚えられていた。

実は、

何一つ証明したくなかった。


ただ、ひたすらに消えてほしかった。


この世界は、
たぶん、私のことがずっと好きなのだろう。


こっちは好きでもないのに、
合わせて生きるしかないのだろう。


ならば、
好きになっていいような理由を、

一つだけは、作ってあげたかった。

この世が私のことを

諦めなくてもいいような理由を、
与えてあげたかった。


この存在を消してもらえないのなら、
ちゃんと責任をとって、

離さないで、と。


それが、

このエッセイを書き始めた理由だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、

感情が薄い人だと思っていた。

 

 

実は、

感じる前に、徹底的に分解してしまう性情なだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

自分は、

人からも、世界からも、忍耐力が足りない人だと思っていた。

 

 

実は、

怖くても怖くても自分を守ることを選び続けてきただけだった。

 

 

 

 

 

 

 

この人は、

ちゃんと愛された記憶がないと思っていた。

 

 

実は、

理解してもらうという愛だけを望んでいて、

色んな形で降り注ぐ愛を受け取るのが苦手なだけだった。

 

 

 

 

 

 

文章を書きながら、

やっと気づけた。

 

 

 

 

 

 

 

この夏は、

この世のことが、

少しは、好きになれそうだ。

 

 

 

 

終わり