「トゥモロー・ワールド」 | こだわりの館blog版

「トゥモロー・ワールド」


トゥモロー・ワールド

全ては映像の力!

11/26 Tジョイ大泉 にて


監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン
原作:P・D・ジェイムズ
脚本:ティモシー・J・セクストン
出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム、他


メキシコの鬼才・アルフォンソ・キュアロン監督が撮ったSF映画。
SF作品にしてはクライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン
キャストが豪華だ、っていう点だけで見てみようと思い、
全く予備知識もなく見たものですから
【宣伝】【中身】あまりのギャップに驚きました。
タイトルもタイトルだけど
…宣伝じゃあなんかラブ・ストーリーみたいでしたもんね。

 西暦2027年。
 人類は18年間の長期に渡って子どもが生まれない未曾有の異常事態が続いており、
 このままでは人類絶滅の危機は免れなかった。
 そんな中、国家の仕事に就くテオ(クライヴ・オーウェン)が、
 反政府活動に身を投じている元妻(ジュリアン・ムーア)から
 人類存続に関係する【ある重要な】情報を握り始める。
 人類の未来はおろか自分の将来でさえ興味を示さないテオだったが……。


原作はイギリスのミステリー界の巨匠P・D・ジェイムズ
SF作品として発表した「人類の子供たち」。
お恥かしい事に「人類の子供たち」はおろかP・D・ジェイムズの作品も読んだ事ないので
ストーリーの細部までは言及できないものの、
まぁ映画を見た限りではかなり原作から省略した脚本なのでしょう。

内容は近未来に充分ありえそうなリアルで辛辣なものであるにもかかわらず
映画が始まってからのお膳立ての部分が非常に早足でわかりづらい
子どもが生まれない現在の世界の状況といい、
テロリスト活動を行っている反政府組織にしても
政府の「何に対して反抗」しているのかが
展開が早足で説明不足なものですからわかりづらい。
よって彼らが政府と戦争状態にあるというのもイマイチ理解できないんですね。
「子供が生まれずに人口がどんどん減ってるのに戦争して余計人口を減らしてどうすんの」
といった感じであります。


しかしこの「トゥモロー・ワールド」映画としては非常に面白い
なぜならその説明不足な脚本を補って余りある、その映像が素晴らしいから!
オープニングの反政府組織による爆弾テロシーンから全編これ長回しの連続。
まさに【映像の力】に充ちた映像の数々。
長回しなものだから画面の中で全てを説明しなければならない制約から
物語が説明不足になってしまったのでは…と、
制作者側へフォローのひとつも入れてあげたいくらい。
特にロケーションを駆使した長回しは、
さぞかし撮影が大変だったろうと余計な心配をしつつも

その迫力たるやリアルで凄まじいほど。

SFXに頼らずにロケーションを駆使した【映像の力】だけで
立派にSFとしての雰囲気作りにも作品作りにも成功してしまうのですから
さすが南米の新進気鋭の監督、
着眼点が見事としか言いようがありません。


しかし実際の内容とは全く異なる甘ったるいタイトルで
しかもこれほどの作品を正月前作品で終わらせてしまうなんて
配給会社は本当勿体無いことをするなと思いますね。
ネェ…東宝東和さん!


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