映画版「曽根崎心中」
映画版といっても宇崎竜堂主演のATG作品ではありません。
これは文楽の「曽根崎心中」を実際の舞台(ロケーション)で演じ、
それをフィルムに収めたという大変珍しい作品。
1981年制作で公開は当時、岩波ホールでの上映でした。
今回珍しくNHK-BSで放送されていたので鑑賞した次第。
検索サイトの映画コーナーにもなぜかこの作品は載ってなくて
素材もないものですから、しょうがないので過去のチラシをひっぱり出してきて
やっと公開当時のチラシを見つけました。
監督:粟崎碧
撮影:宮川一夫
出演:吉田玉男、吉田蓑助、竹本織大夫(義太夫)、鶴澤清二(三味線)
実写映画でもない、かといって舞台中継でもない…
名手・宮川一夫の撮影により人形たちが、
文楽の額縁舞台ではとても味わえないダイナミックな角度からとらえられていて
特に義平次が正面の遠くから歩いてくるショットなんてのは、
とても文楽の舞台では見ることの出来ない、印象的なカットでありましたね。
人形遣いは徳兵衛が吉田玉男、お初が吉田蓑助のゴールデンコンビ。
但し、映画版ということで人形の動きを重視するというコンセプトから
2人とも黒子に徹しての登場。
20年前のちょっとお若い2人の姿を見たかっただけに残念、残念。
あと義太夫と三味線は完全にナレーションのポジション。
文楽の忠実な映像化だから、こういう扱い方なんでしょうが、
ナレーションでズーッと語りを聞き続けるというのは結構つらいもの。
やはり一流の大夫を起用しているのだから
人形遣い同様、ちょっとくらいその【姿】を見たかったもの。
例えばロケーションなのだけれども人形の横で大夫さんと三味線がいる、とかね。
ちょっとシュールな空間にはなってしまいますけど…。
しかし全体を通して見た印象では、
文楽は面白いのだけれど、やはり難しいですね。
文楽自体、歌舞伎と違って現代の人に媚びる芸でもありませんし、
特にこの作品は、文楽の忠実な映画化ですから、解説なども何もなく、
舞台鑑賞の時には【イヤホンガイド】に【床本】が欠かせない私としては、
2月公演のパンフレットについてきた床本を必死に読みながら
この作品を鑑賞してしまいました。
…お恥ずかしい話ですが。
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