「タイガー&ドラゴン『粗忽長屋』の回」
第9回目「タイガー&ドラゴン」
このまま虎児(長瀬智也)も落語家1本の生活になるかと思いきや、
やはりヤクザの世界は“それ”を許さないようで…
今回と次回は“そこらへん”がどうも話の核になりそうです。
それでは第9話「『粗忽長屋』の回」。
6/10 TBSにて放送
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、他
出演:長瀬智也、岡田准一、北村一輝、塚本高史、銀粉蝶、阿部サダヲ、伊東美咲、荒川良々
橋本じゅん、笑福亭鶴瓶、西田敏行、他
虎児(長瀬智也)は、新宿流星会を追われた田辺ヤスオ(北村一輝)に再会する。
ヤスオは、組長(笑福亭鶴瓶)の元舎弟・梶力夫(橋本じゅん)の立ち上げたウルフ商会に転がり込むが、
組の金500万を使い込んで逃走していた。その上、ヤスオは力夫の妻にも手を出していた。
虎児は、またこの男にかかわると、面倒くさいことに巻き込まれると竜二に忠告されるが、
落語のネタになると思うと首をつっこみたくなるという。
虎児は、どん兵衛(西田敏行)に『粗忽長屋』の稽古をつけてもらうが、
どうしてもサゲ(オチ)が理解できない。竜二から、ありえないのがオチだと言われるが、腑におちない様子。
虎児の話す『粗忽長屋』を聞いたヤスオは、虎児に自分を殺すフリをして、500万を山分けしようと提案。
虎児は抵抗するが…。
北村一輝の怪演に全てが集約されている1話でしたね。
スペシャル版「『三枚起請』の回」にメグミ(伊東美咲)にダマされる一人として同キャラを怪演。
デス・きよし(ヒロシ)に続く「『三枚起請』の回」からの久々の登場であります。
きっとクドカンの「これだけのキャラ、1回で終わらすのは勿体無い」いう判断なんでしょう。
まあスゴイ怪演、テレビ放送であれだけのキャラをよく放送OKにしたもんです。
映画でもヤクザ役を怪演しつづける彼だけあって、TVでもそのキャラクターは抑えようとしません。
しかも今回さらにクドカンのひとひねりが加わって
「粗忽者のヤクザ」という追加キャラも入ったもんですから、もう鬼に金棒。
今までの「タイガー&ドラゴン」の中でも一、二を争う強烈キャラクターになっております。
彼の前では虎児(長瀬智也)など本当かわいいヤクザになってしまってますが、
それでも虎児はいつになく力が入ってヤスオに互角にぶつかってましたから
虎児ファンの私としては、“北村一輝の怪演”に“虎児の活躍”と
本作をダブルで堪能させていただきましたね。
ところで今回の話で、話の筋には全く関係無いのですが、
私にはどうにも納得がいかなかった箇所があったので書いておきます。
それは虎児が、どん兵衛に『粗忽長屋』の稽古をつけてもらうが、
その不条理なオチが理解できない。
そこを竜二が説明するのですが、竜二は『粗忽長屋』の展開をこう言います。
「うっかり者が自分が死んだ事にも気付かずに、
家に帰って呑気にタバコを吸っているのが不条理だ」…と。
フーンそういう解釈もあったんだ、と思いましたね。
私はこの噺を全くこういう風には解釈してませんでした。
私はこう解釈してたんですよ
「うっかり者がそそっかしい男にせっつかれ、自分の死体があがったという事に
何ら疑問を持たずに引取りに行く。その態度が不条理だ」…と。
つまりですね、竜二の言ってる解釈では、
このうっかり者は実際に【死んで】いて、それに気付いてないというんですね。
でもそれではこの噺は【不条理】ではなく【SF】に、
うっかり者は【粗忽者】ではない単なる【バカ】に、
対する相方も【そそっかしい男】というよりも【多少は真実を言っている】男になってしまいますよね。
『粗忽長屋』は【粗忽者同士】の話ですから、
そそっかしい男が浅草の【行き倒れ】を勝手に【うっかり者】の死体だと思い込み
うっかり者に「お前浅草で行き倒れているよ。早くお前(死体)を引取りに行こう」と言う。
それを聞いたうっかり者が何ら疑問を持たずに「うんうん、早く取りに行こう」と家を出てしまう…
ここに強烈な【不条理の笑い】が発生していると思うんですよね。
「死体が実際は誰なのか」などという謎解きはこの噺では不要で、
不要なところが不条理の真骨頂なんですよ。
では実際、この解釈どちらが正しいのか…
家にある「落語手帳」(講談社文庫)を引っ張り出したところ、
やはりこの噺は演者によって上の2つの解釈があるようなんですね。
特にどちらが正しいのかはっきりさせず演者に一任するところなど、
いかにもフランクな落語の世界らしいところですが、
『粗忽長屋』を聞かれた事のある方、どう思われたでしょう?
それでは次回「『品川心中』の回」
へ
「『三枚起請』の回」を今回見直したら、竜二に関する説明で
「彼(竜二)の『品川心中』などは志ん朝を越えた」と小百合さんが言ってました。
と、いう事は次回はまた竜二が主役。そして『志ん朝を越えた品川心中』を見せようというのか。
…んー、心配です。
関連サイトはこちら
■「タイガー&ドラゴン『三枚起請』の回」のサイト
■「タイガー&ドラゴン」レギュラー放送分のサイト
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