あの日から、幾度となく月日が流れて。


もう、私はこの街を去ることにした。


配属初日。


会社の嘘を知り、業界の闇を知り、孤独に負け、絶望していた日々。


あの現場から、


あの場所から、


あの車道から、




この世からどう消えてやろうか考える毎日が過ぎていった。




しかし、人間は慣れるもので、1ヶ月すればその感情は少しずつ薄れていった。


だが、「その」感情は、転職したい、地元に帰りたいという気持ちに置き換わった。


こんな僻地まで来たのに、こんな環境で働くなら、地元に残ったほうがマシだ。


そう思った僕は、転職をすることになる。


現場で毎日怒られ、蔑まれ、無視される毎日の中、ぼくはいつもこの現場でこう思っていたのだった。




ぼくはあと何回、この景色を見なければならないのだろう。




忘れられないあの日々は、自分への戒めと呪いとしていつまでも残るような気がしていた。


でも、あの日をいつか忘れられるように、

今は、新天地で頑張るだけだ。


新天地といっても、見しれた土地なのだが。


ただ、今後どんなに辛いことがあっても、あの日よりはマシだと思えるなら、

少しは、あの日の経験が活きるのかもしれない。




そう信じて、ぼくは新しい環境へと身を置くのだった。