国の最高法規である日本国憲法について書きます。




補足を除いて、全部でたった99条だけです。

しかも、その内、このブログで紹介したい条文は、わずか25条程度です。




前 文  

第1章  天 皇(第1条~第8条)

第2章  戦争の放棄(第9条)

第3章  国民の権利及び義務(第10条~第40条)

第4章  国 会(第41条~第64条)

第5章  内 閣(第65条~第75条)

第6章  司 法(第76条~第82条)

第7章  財 政(第83条~第91条)

第8章  地方自治(第92条~第95条)

第9章  改 正(第96条)

第10章  最高法規(第97条~第99条




全体のしくみは、どうなっているのかといいますと

①プロローグ(まえがき)
②前半(人権について)
③後半(統治について)
④エピローグ(あとがき)

という、ストーリーになっています。


①のまえがきは、「前文」にあたります。

②の人権は、第1章から第3章が担当します。

③の統治は、第4章から第8章が担当します。

④のあとがきは、第9、10章にあたります。






それでは、最も大切な、前文です。
前文の中から、重要なところだけ抜粋します。






日本国憲法 前文

『そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する。

これは人類普遍の原理であり、
この憲法は、かかる原理に基くものである。

われらは、
これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。


~中略~

日本国民は、国家の名誉にかけ、
全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。』







まず、前文の「効力」について、書きたいと思います。


法律は、守らなければならない決まり事です。

守らなかったら、違法です。

憲法も、法律です。日本で一番えらい法律です。


では、前文は、「守らなければならない決まり」と言えるでしょうか?

つまり、前文は、「法律としての効力」があるか?
ということです。


結論からいいますと、「イエス」です。


前文は、憲法の一部としての性質をもっており、
守らなければならないものであると、考えられています。

このことを、
憲法前文には「法規範性」がある
といいます。


では次に、法律とは、具体的に何でしょうか?


日本で法律をつくれるのは、
選挙で選ばれた、国民の代表者の集まりの、国会だけです。

国会は、国の唯一の立法機関です。

つまり、法律とは、国会(衆議院・参議院)の議決を経て制定された
議会制定法
のことを言います。

原則、国会以外で、法律をつくることはできません。


また、日本は、法治国家ですから、国会でつくられた法律が、日本を治めます。

人が、治めるわけではありません。(人治国家の例:中国共産党や北朝鮮)

ですから、内閣(行政)といえども、法にしばられ、違法なら司法の場で裁かれます。




前文は、本体の条文とともに、議会(国会)で制定されたものであり、
そもそもの大前提ですから、前文に法規範性がないとすると、
何のための前提なのか、ということになってしまいます。

ですから、前文には、法律としての効力(法規範性)があります。


ただし、法廷の場で、前文を持ち出して、合法だとか、違法だとか、
判決のための判断の基準としては、使えません。

このことを、
憲法前文には「裁判規範性」はない
といいます。







以上、まとめますと、
前文は、憲法の一部であり、
法律としての効力(法規範性)がある。
前文は、守らなければならない決まりである、

ということです。



前文の中身については、またの機会に書きたいと思います。








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