たいへん申し訳ありません。6月23日(日)、6月28日(金)は臨時休業します。

☆大切な人へのサプライズに、沖縄の思い出に。。。

描いた人数1万人以上!プロのイラストレーターがお描きします。

 

☆沖縄の記念に!沖縄の背景バージョン

 

 

☆歓送迎会のサプライズに
 
 
誕生日やご結婚の贈り物に
 
 
☆ひまわり背景バージョン
 
☆結婚式用ウエルカムボード
 
 
☆木炭や色鉛筆による、肖像画も承っています(お写真から描いて後日お渡し)。¥8000〜(人数によりお値段が異なります)※ただいま受付休止中
 
 
のこりわずか!似顔絵師がつくる似顔絵こけし(一体¥3500。高さ約11cm)
 
 
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《料金設定》(税込み)
 



★プレゼント用は、メールやLINEからもご注文できます

(1)以下の事項をお伝えください。
・納期限、人数、目的(プレゼント用、還暦祝いなど)

(2)以下のご要望があればお伝えください。なければ「おまかせ」となります。
・服装、背景、文字の有無など
・紙のサイズ(色紙は五人まで)

(3)その後、お見積り→写真(写メなど含む)の送信→制作→作品の発送または手渡し→お支払い(お振込)

 

※仕上がり時間は、絵の内容や込み具合により異なります。お急ぎの場合はご相談ください。

※説明が難しいリクエストのご注文は、ご来店をお勧めします。

※不明な点はお気軽にお問い合わせください。

 

 
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《店の場所、連絡先および営業時間》
 
★営業時間 11:00~18:00
★定休日:水曜。その他出張などで臨時休業することがあります。
★場所:公設市場の東口付近【那覇市牧志3-3-1(1F)】
 
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《ギャラリー》
 
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☆デジタル作画
 
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☆結婚式用ウエルカムボード
 
 
撮影:池澤範敏
 
☆動物もOK
 

ブログを長い間ご無沙汰しておりましたがいかがお過ごしでしょうか?

 

ここ数年、観光のお客様が全く来ない時でもなんとか営業できてきたのは、注文をしていただいた皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。

 

つきましては、今まで八軒通りにあった店を移転し、今月から市場中央通りにオープンいたしました!

 

小さい店ではありますが、ぜひ足をお運びください。

 

新しくオープンした公設市場のすぐそばにあります。ただいまオープン記念で「ブログを見ました」と言えば公設市場の風景を期間限定で無料で付けています。記念にどうぞ。

 

 

これまでに描いた中国、モンゴルなどの植物画をまとめました。

 

 

●リョウトウナラ(遼東楢 Quercus liaotungensis)

 

 中国大陸の黄土高原の植生は,日本の東北地方と似通っている。これは,太古の昔に大陸が陸続きだったときに同じ種だった植物が,陸が離れた後にそれぞれの大陸で独自の進化を遂げたためであり,世界中でも,同じ緯度の場合は,似た系統の植物が生育している。

 木がほとんど切られ尽くしてきてしまったと思われる広陵とした山西省のハゲ山に,まれにナラの仲間などを主とする天然林が出現することがある。ナラの落ち葉をすくってみると,その下には土壌動物たちが活発に活動していた。厳しい冬に枯れ落ちたナラの葉が,土壌動物を育むことで,ハゲ山の硬い土壌を柔らかくし,あらゆる生命の源をつくってくれていた。

 リョウトウナラは,中国東北地方やモンゴルに生育するコナラ属の樹木。ミズナラに非常に近い種であるモンゴリナラ(Quercus mongolica)ほど北まで分布することはないが,黄河流域の北側を中心とした中国の冷温帯域に分布し,一斉林を形成する。

 

 

 

●黄土(おうど,こうど loess)

 

 絵の具の「黄土色」で馴染みのある黄土は,日本にはなく,中国の陝西省,山西省,河南省などに広がる黄土高原で見ることができる。この土はタクラマカン砂漠のシルト(微砂)が風にのって飛来し,堆積したものであり,それに穴を開けた住居である窰洞は,夏は涼しく,冬は暖かく,中には数千年耐久したものさえある。しかし,それは大雨が降ると状況は一変することがある。雨を含むとパウダー状に分散し,それまでスコップも刃が立たなかった黄土がドロドロと流れ出す。

 その性質は緑化する際もとても重要であり興味深い。80~90年代,中国はこの地域で緑化の失敗に際し,日本から多くの専門家を招いた。そのうちの一人である元東北大学附属植物園長の遠田宏博士は現地の土壌硬度や粒度を調べ,「ここの土は日本と性質がまるで違う。緑化するには先ず土を理解することから始めないといけない」と語った。日本では木を植える時,根本の土を踏むことがあるが,それは日本の土壌は団粒構造が発達してフカフカしているので可能であり,ここ黄土高原で同じことをすると土が固くなりすぎて根が窒息してしまう。この対処法として,なんと石炭ガラを土壌に混ぜたところ気相の割合が高まり良好に生育した。石炭ガラは石や砂利でも代用できる可能性がある。日本では,石は農業機械を壊すなどの理由から植物の成長にとって良くないと思われがちで,畑にあるとすぐ取り除かれてしまうが,所変われば救世主になり得るのである。あるいは,石や砂利は日本でも植物の生育にとって何らかの有益な働きをしてくれているかもしれない。河南省の荒廃山地でも,樹木の根は石を求めるように伸びているのをしばしば見ることができたが,これは気温の日較差により石の表面に結露が促進され,その水分(または石のミネラル?)を吸収するためであろう。

 それでは,硬く乾燥する黄土高原になぜ樹木が生育できるのだろうか。日本では普通,掘れば掘るほど湿るが,ここではその逆で,水が染み込まず,深くなればなるほど乾燥する。しかし,よく見ると乾燥した黄土は縦に亀裂が入っているところがあり,そこに流れ込んだ水を利用して,樹木は根を非常に深く伸ばし生きている。

 

 

 

 

 

 

●黒土(くろつち,こくど)

 

 日本列島に広く分布する黒土は,学術的には「黒ボク土」と言い,黒くてボクボクしていることが由来。火山灰土に腐植がまじり黒色を帯び,日本人には最も馴染みのある土であるが,これは世界的はに珍しい土壌であることは,国際基準名の「Andsols」が日本語の「暗土」に由来することから察することができる。

 「モンゴルの面白いところは,なにも面白いところがないところだ」と言われるが,内モンゴル自治区からモンゴル国に向かう途中,列車の窓から景色を眺めていると,黄色い砂漠化土地から徐々に黒色を帯びる土壌に変化していくのが面白い。気候が似通う中国の東北地方は土壌が黒く,大穀倉地帯であり「土壌の皇帝」と称され世界で最も肥沃な土壌とされるウクライナのチェルノーゼム(chernozem)も同じ黒色なので,日本の黒土も栄養に富んでいると思われがちだが,答えはYESアンドNOである。日本は降水量が多く,養分(カルシウム,カリウムなど)が溶脱されるためである。また,病気の要因となるバクテリアの温床になるとともに,火山灰起原なのでアルミニウムを多く含むため,植物に最も必要な要素の一つであるリン酸を吸着して離さなく,植物が吸収できない形となる。しかし,土壌はフカフカしており物理性は良好なので,石灰による酸性の中和や,リン酸肥料を大量に投与することで,先人はデメリットを改善してきた。その中には宮沢賢治の姿もあった。

 北海道では,黒土の評判は落ちる。黒土で育てた野菜は不味で,農家が嫌う土であるが,苗木づくりの際に根切のあとに黒土とセットにされ病気を発生しやすくなっていることがある。黒土を肥沃土と偽って植林の際などに用いられるのは詐欺だ,と筆者は強烈な注意喚起を受けた。

 

 

 

黒土を耕す人々とポプラ防風林(ウランバートル)

 

 

 

 

●カイヅカイブキ(貝塚伊吹 Juniperus chinensis var. kaizuka)

 

 ヒノキ科ビャクシン属の小高木。ビャクシンの栽培品種。枝が巻き上がるように生育する。筆者が小さい頃から,関東地方の近所の庭木としても見慣れた樹木であった。日本の庭に植えられている木は,中国原産が多いが,これも原産地は中国であり,漢名を「龍柏」といい,山東省以南の各都市で広く植樹されており,台湾,香港でも一般的。

 中央アジア,内モンゴルなどの乾燥した地域には,同じヒノキ科で形態もよく似ている臭柏(しゅうはく;サビナビャクシン;Sabina vulgaris)が見られ,日本の研究者がこれを研究する際,カイヅカイブキとよく比較される。臭柏は,乾燥すると根の発達を促進し,深く根を伸ばす特性を持つが,カイヅカイブキはそのような傾向はみられない。カイヅカイブキが乾燥地に適応し,臭柏に進化したのだろうか。

 

 

 

 

●サンザシ(山査子  Crataegus cuneata)

 

 河南省鄭州の街中では夕方頃から,この果実を乾燥させたものを串刺しにして,水飴を塗って売り歩いている光景をよく見かける。酸味と甘味が共存し,ボリュームがあるお菓子だが,火鍋の後などはつい買って食べてしまう。同種や,近縁のオオミサンザシ(C. pinnatifida)の干した果実は,「山査子/山楂子」という生薬でもあり,健胃,整腸,消化吸収を助け,食べ過ぎでも油ものや肉を消化してくれる作用があると考えられている。夜に売られている理由も納得がいく。チャン・イーモウ監督作品,映画『サンザシの樹の下で』で扱われるなど,中国ではとても馴染みのある植物である。

 バラ科サンザシ属の落葉低木。中国中南部の原産。日本には江戸時代に中国から薬用の樹木として小石川御薬園に持ち込まれて,その後は庭木や盆栽として栽培されている。

 

 

 

 

●月李花(和名:コウシンバラ Rosa chinensis)

 

 河南省鄭州市で公園に植えられていたものをスケッチした。中国の南西部,貴州省から湖北省,四川省に分布している。今では中国で観賞用として広く栽培されており,高さは1~2メートルになる。花は四季咲き性で,ピンク色から赤色の一重咲きで,多くの園芸品種がある。

 

 

 

●黄素馨(和名:キソケイ  jasminiumu giraldii Diels)

 

 ヒマラヤジャスミンとも呼ばれる。モクセイ科オウバイ属の常緑低木。ヒマラヤ地方原産で,黄色い花が咲き,観賞用として栽植される。

 

 

 

●アルファルファ(Medicago Sativa)

 

 マメ科の多年草で,栽培された最古の飼料作物といわれる。アルファルファの名はペルシア語の「最良の草」を意味することばからきており,アメリカや日本ではこの名を使うが,ヨーロッパではルサーン(lucerne)とよぶ。原産地は中央アジアで,古くから栽培されていたペルシアから紀元前5世紀にギリシアに伝わり,地中海沿岸に広まった。日本には江戸時代末期に渡来したがほとんど広まらず,明治時代初期に牧草として,アメリカから導入した品種が北海道を中心に定着した。おもに乾草として,また放牧草,サイレージとして利用されるが,タンパク質やミネラル,ビタミン類が豊富で飼料価値が高い。

 筆者は小さい頃,アルファエーという,アルファルファを原料としたジュースを好んで飲んだが,内モンゴルで20年ぶりにこの植物と再会した。小さくかわいらしいが,乾燥に強く,マメ科植物なので空中から窒素を固定吸収できるパイオニア植物であり,砂沙漠でもたくましく生育していた。内モンゴルの広陵とした砂漠化地域でも,生き証人である御神木が語るように,かつては森林であったと考えられる。3000年かけて砂漠化させてきたのなら,元の森林ステップに戻すには300年くらいを要さなければならない。いづれ内モンゴルの大地も,同じマメ科でも巨大でアルファルファとは似ても似つかない,ニセアカシアや,沖縄で見るホウオウボクのような,巨木を含む森林になるのだろうか。

 

 

 

 

 ●紫弾樹(和名:コウライエノキ Celtis biondii var. biondii)

 

 河南省百雲山でスケッチした。薬用小高木で斜面や,谷間や雑木林に見られる。中国の西南や,陝西省,甘粛,江蘇,安徽,浙江,江西,福建,河南,湖北,湖南,広東,広西等などに分布する。漢方薬に用いられ,葉には鎮熱解毒作用がある。

 

 

 

 

●ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)

 

 日本には1970年代に渡ってきた北米原産の外来種であり,はちみつの原料(日本では約45%を占める)となるが,pseudoとは「偽りの」という意味なので「アカシアはちみつ」という表記は偽りなのかどうなのかとスーパーで余計なことを考えてしまう。緑化用樹木としても重要であるが,現在では在来の植生を乱す侵略的外来生物として指定されてあり,駆除対象となっている。根が浅く広く張り,また地下茎繁殖するため,別の個体に見えても地下茎つながっている可能性もあり,伐っても株から萌芽更新する。駆除するには,伸びはじめたところで葉が出る前に再び伐ることにより,光合成できなくなり,枯れる。

 繁殖力が強いことと,経済的有用性から,中国の黄土高原でも緑化に多く使われたが,近年,ある程度まで成長すると,水消費量が増すため,落葉することで水消費量を減らす「先枯れ現象」が生じるようになってしまった。そのため,リョウトウナラなどの郷土種による緑化が急がれている。 

 

 

 

 

 

●芹菜(チンツァイ,広東セロリ Apium graveolens)

 

 中華圏で食堂に行くと,これに豆腐とニンニクなどと混ぜあわせた前菜など,先ずいただく酒の肴のような野菜として馴染みがある。ビールもよいが,独特の香りは,高粱を原料とする白酒が良く合う気がする。

 セリ目セリ科オランダミツバ属の中国野菜で,セロリの原種に近いとされる。 東アジア南部が原産で,中国で品種改良された後に日本に伝わった。

 

 

 

●乳白花黄芪(Astragalus galactites)

 

 内モンゴルの荒廃地で,足元に注意してあるいていると,目立たないが,可愛らしい白い花を咲かせているのを見つけることができる。多年生草本で,高さ5~15mm。根は太い。茎はきわめて短縮する。羽状複葉で9~37枚で,葉柄は葉軸より短く,長柔毛に密に覆われ,下部と葉柄は粘性がある。中国では東北地方や西北および内蒙古に自生する。

 

 

 

●ニンティアオ(檸条 Caragana korshinskii)

 

 ニンティアオは,樹高1~5m,耐乾・耐暑・耐寒性などに優れた中国北部全域に分布する落葉樹。偶数羽状複葉の形をとり,葉軸に6~8対の小葉をつけ一枚の葉を形成する。黄色い花をつける。根に根粒菌を持ち,土壌改良の役割をする。砂地でも生育でき,根を良く伸ばし,風食に耐えることもできる。枝にはたくさんの刺を持つ。植栽4~5年で地上部をある程度刈り取ることにより切り株から旺盛に萌芽枝が出てくる。萌芽更新をすることにより株はより大きくなり,刈り取ったものは燃料や使用として用いることができる。

 乾燥地緑化によく用いられる種で,筆者は学生時代に初めて内モンゴルのオルドス高原を訪れ,この種子を播いた。日本でも育てようとしたが,砂地ではない土壌の菌類に弱いのか,うまく育たなかった。

 

 

 

●オルドス高原の生き証人

 

 北京空港から飛行機を乗り継ぎ,内モンゴルの呼呼浩特から更に西に長距離バスで進むと,高さ千メートルを超えるゴツゴツと鋭く切り立った山脈が姿を表す。緑の美しい山々を見るよりも心が踊るのはなぜだろうか。あまりに急峻で,さらに乾燥しているため,樹木だけでなく草本植物さえ容易な生育を許さない。「後は野となれ山となれ」といわれるように,放っておけば植生が回復する日本に住んでいると,この光景は信じがたいものがある。しかし,世界の陸地の3分の1が乾燥地帯なのだから,この風景はさほど珍しくなく,日本の環境をありがたく思うべきかもしれない。

 鄂爾多斯は黄河中流が黄土高原を削ってできた大きな盆地で,内モンゴル高原の南にある乾燥地帯である。そこは地元政府により大規模な緑化が進められているが,広大なオルドス高原全体を眺めると大河の一滴に過ぎないように見える。旱魃のせいだろうか,一列に植えられた油松は定期的に潅水はされているようだが,生育は悪く,生命の危機を感じて子孫を残すことにエネルギーを投じているかのように,球果を結実させている。

 そのような場所で,針葉樹の大木を発見した。その木が赤い布を巻きつけてあるところを見ると,御神木のようなものと思われる。雨が多く樹木が大きくなりやすい日本と比べると大木とは言えないかもしれないが,ゆっくり成長し,樹齢は1000年以上あると思われる。旱魃や,大陸の激しい歴史の中でも伐られることがなかったことは驚きだ。この木は,かつてはこの地にも森林があったこと,そして森林が成立しうることを教えてくれているようであった。

 

 

 

●塩を売って緑を買う男

 

 

御神木に出会ってから数年後に再びオルドスに足を運ぶと,十年あまり緑化活動をしている日本人,S氏さんと出会い,一緒に酒を飲みながら話を聞くことができた。氏は大学卒業後,90年代に青年海外協力隊としてオルドスに赴任し日本語を教えた。そこで砂漠化する大地を見て,ここを緑化することに人生をかけることに決めたという。ここの土地で採れる岩塩はとても味が深いことに気づき,それを日本を中心に販売し,それを元手にしてオルドスに植林するという活動を,教え子とともに立ち上げた。この地域は緑化ボランティア団体などは多いが,ほとんど個人でここまで大規模に行っているプロジェクトは他にはないのではないだろうか。彼は今では「塩を売り,緑を買う男」と呼ばれている。

 筆者は翌日,植林を手伝った。地元と日本からの有志も参加して,沙柳を植えた。皆が緑になることを信じ植えていたが,そこから少し離れた土地に,昨年植えたであろう植林地が目に止まり,近寄って,その木を試しに持ってみると簡単に抜けてしまった。落葉しているだけかと思ったが,活着せず枯れてしまっており、かなりの本数に及んでいた。持った木が簡単に抜けた瞬間,乾燥地の緑化が非常に難しいことを察することができた。乾燥地とひとくくりに言っても,それぞれ微気象や地下水位が異なるため,だだ乾燥に強い植物を植えれば良いというものではなく,乾燥に強く生育の早いもの(例えばポプラの仲間)を植えると水分消費量が多すぎて地下水を使い果たしてしまい,かえって環境に悪影響が生じることもある。黄河の断流も,植えた木により水分が多く消費された結果であると言われる。植林は諸刃の鋭い剣なのである。乾燥地緑化は技術的にも未だ課題が山積みの状況で,S氏も試行錯誤の連続だろう。しかし,その緑化の失敗地は研究者をはじめ多くの人が訪れるという。失敗地は,新しい知見を得られる宝の山なのかもしれない。

 今年,NHKで十年ぶりにSさんを拝見して懐かしくなり,岩塩を注文した。まだ筆者を覚えてくれたようで,当時の思い出を振り返る手紙が添えられていた。彼は寡黙な性格で,派手な活動をする方ではないが,数十年の地道な活動が徐々に実を結んできたとのことだ。当時は「お前はオルドスの沙漠と結婚したんだろ」などとからかわれていたらしいが,結婚し,テレビ番組『新婚さんいらっしゃい』にも出演した。

 

 

 

●ビワ(枇杷 Eriobotrya japonica)

 

 バラ科ビワ属の常緑高木および食用となるその実。学名はEriobotrya japonicaであるが,原産は中国南西部で,日本では四国,九州に自生する。びわの花はマイナス5度で,果実はマイナス3度で凍死してしまうため,温暖な地方でしか栽培できず,冬,黒潮に守られる房総半島の安房地域がびわ栽培の北限である。これをスケッチした河南省鄭州市の平均最低気温は3.3度なので,中国の北限であったかもしれない。

 

 

 

 

 

●スナナツメ(砂棗 Elaeagnus angustifolia)

 

 グミ科グミ属に属する植物で,中央アジアの乾燥地帯でよく見られる。実を食すとサラッとした湿った砂のような感覚がある。耐寒性,耐暑性に優れ,根に根粒菌と共生し,窒素を保持し,土壌が改善され,土壌を肥やす。長野県の圃場で砂場に育てたところ,旺盛な生育を示した。雨が多くても,砂場であれば菌類に侵されにくいためかもしれない。

 

 

 

 

●キョウチクトウ(夾竹桃 Nerium indicum)

 

 常緑低木もしくは常緑小高木。庭園樹や街路樹に使われるが,中毒事例がある有毒植物としても知られており,強力な毒成分が含まれ,キョウチクトウを燃やして出た煙にも残る。沖縄にはオキナワキョウチクトウ(Cerbera manghas)が街路樹としてよく植えられているが,樹液は有毒で,誤って食してしまうと,中毒になるという話を聞くことがある。

 

 

 

 

●モミジバスズカケノキ(紅葉葉鈴懸の木 Platanus × acerifolia)

 

 通称プラタナス。イギリスで作られたスズカケノキとアメリカスズカケノキの交配種で,日本には明治時代に渡来した。

 北海道では街路樹としてよく植えられ,幹を芯止めし,電話線を太枝が迂回するような選定方式がとられているが,筆者の住んでいた中国の鄭州でも共通して見ることができた。特に鄭州の街路樹はほとんどがプラタナスを用い,その大きな樹冠と葉は,強烈な日差しを遮ると同時に蒸散により旺盛に熱を奪う。内陸都市の厳しい夏に,清涼な緑の回廊を作り出してくれていた。

 

 

 

●コノテガシワ(側柏 Platycladus orientalis)

 

 最も思い出深い植物を一つ挙げろ,と言われたら筆者は迷わずコノテガシワにする。昔,これを河南省井湾村で手塩にかけて育てていた。現地は岩盤であったので,ツルハシで2週間かけながら掘削し,根の伸び方を調べたりもした。

 乾燥に非常に強い樹木で,直根をぐんぐん伸ばし,岩盤の隙間を縫っていくのはとてもたくましく思う。一般的に樹木の根は,樹冠と同じほど広がっているとされ,肥料などを施すときの目安にされるが,その指標は,土地や育ち方,樹種により様々だろうということは,根を掘ってみて実感した。コノテガシワの側根と直根は,まるで意思があり,それぞれの役割を担うかのように,側根ははるかに樹冠幅を超えて真横に,主根は真下に樹高と同じくらい伸びていた。

 直根の先端には重力を感知する物質であるアミロプラストが存在するが,根切りや,ポット苗による根がとぐろを巻く「ルーピング現象」によりアミロプラストが減少し,直根は下に伸びることができなくなることがある。それは将来的に,根が土壌を掴む力を低下させ,土砂災害などにもつながる可能性がある。

 残念ながら二週間かけて根を掘り上げたとき作った根の資料は公に公表することができなかったが,直根のたくましさを身を持って知ることができて良かった。根の研究が増えた現在においても,直根の重要性はまだ軽視されているように思う。一緒に根を調査してくれた仲間に大林直という男がいるが,彼はその名の通り,現在でも「真っ直ぐに」直根を研究している。彼の今後の活躍を心から祈りたい。

 

 

コノテガシワの初期成長

 

 

コノテガシワの成木

 

 

 

●植林用苗木

 

 河南省で農村部に中国人の友達と遊びに行った際,友達がアイスクリームの袋を投げ捨てたので,筆者は「環境に良くないから」とそれを拾った。友達は「ジャパニーズ・グッドカスタム」と褒めてくれた。中国では,ゴミは自然に還るものと考えられており,ポイ捨てにさほど罪悪感はないようだ。

 植林する際,薄いプラスチックポットごと植えられているのを見かけ,これは環境に悪く,作業の手抜きだと思っていた。しかし,うまく育っていることも多くあることに後に気づいた。薄いプラスチックは風化するので,そのまま植えても根は突き破って出てくるのだろう。植林前の根は損傷していたが,ルーピングは免れていた。もしかすると,プラスチックは炭素なので微生物の餌になり,土壌を改良してくれる効果もあるのでは?。プラスチックは自然にとって悪ものと思い込んでいた筆者の頭は硬いことに気付かされた。

 

 

 

●シシカバブ

 

 高校時代の古典の先生が授業中話していた頭の中に焼き付いて離れ来話があった。「君たち,こんなつまらない勉強してないで中央アジアに行ってみなさい。こんなでっかい夕日が沙漠に沈むんだぞ!」と黒板全体を両手で円を描きながら示した。教師の話としては如何かと思ったが,筆者の心に残り,初めての海外一人旅は中国の西域であった。日本で北京への航空券と,北京からの汽車の切符を購入し,中心都市ウルムチに向かった。

 ウルムチに到着すると,中国でありながらもイスラム色が濃くなり,客がまだ乗り切っていないのにバスが走り出したりと,その活気に圧倒された。また沙漠の都市ならではの気候の暑さにクラクラと蜃気楼が見えてきた。地元の人に聞くと,本当の気温を放送すると人々は働く気力がなくなるので,多少気温を低く見積もって放送するらしい。夕方になると,砂漠気候なので大幅に気温が下がり,夕方は肌寒くなり過ごしやすくなったところで,シシカバブとビールで一人で乾杯し,舌鼓を打った。

 シシカバブは羊肉串と呼ばれ,屋台でポピュラーな食べ物である。塩や辣椒粉,孜然粉(安息茴香〘クミン〙,八角,桂皮などを原料とした調味料)などを使って炭火焼きにする。これを焼く香りが漂う中,屋外で食べると格別にうまい。

 

 

 

 

 

●敦煌の桜

 

 西域の土地で初めて砂砂漠と触れた。驚いたのは,海岸の砂浜と同じく10cmほど掘ると冷たい水分が存在ことである。海岸は海水が近くにあるので納得がいくが,灼熱の乾燥地になぜ存在するのだろうか。調べてみたところ複雑な現象であった。まず降った雨が地中にたまり,後に砂の隙間の表面張力により上昇する(毛細管現象)が,外気が乾燥が強いと水の上昇が追いつかなくなり,地面の上部に乾燥した砂の層ができ,それが熱伝導を遮断し地中の温度を低く保つ,ということらしい。沙漠は水がまったくなく生命を寄せ付けないと思っていたが意外と水が豊富ではないか!水の量は場所により異なるとは思うが,点滴灌漑などを用いれば,一般的な土に比べ砂は菌類が少ないので,病気が発生しづらいというメリットもあるかもしれない。

 沙漠の中にある石窟寺院,莫高窟で名高い中国甘粛省敦煌郊外に,砂丘から望む地平線一面に及ぶかのような桜の絶景があるのを見つけた。日本の桜は世界一だと思っていたが世界は広かった。名所というよりも,村中に覆われるように,桜の林の中に人が暮らしている感じであった。食用になるアンズを栽培しているのだろうか。アンズもPrunus属なのでサクラとの区別はない。花より団子ということではないだろうが,食用となると生活に密着するので村人が皆でこぞって植えたのかもしれない。オアシス都市のサクラはとても青空に映えている。桜吹雪の中で,ビールとシシカバブで花見ができたら最高だろう。

 

 

 

●ニクジュヨウ(肉蓯蓉 Cistanche)

 

 ニクジュヨウはハマウツボ科(Orobanchaceae)に属し,アカザ科やギョリュウ科などを宿主とする完全寄生生物である。日本でホンオニクとよばれる乾燥物は生薬肉蓯蓉として「神農本草経」に収載され,古くから強壮,強精剤として用いられており,薬用養命酒にも入っている。見た目は,日本にも分布しているハマウツボ(Orobanche coerulescens)に似ている。ハマウツボはカワラヨモギが大好きで,これのみに寄生し,一蓮托生の生き方をしているが,ニクジュヨウはハマウツボに比べ少々浮気気味のようだ。

 肉蓯蓉の寄生する植物はソウソウ(サクサウール)という樹木で,筆者は内モンゴル自治区の砂漠研究所に勤務していたときにこれを育成,植林に関わった。その根に寄生するので根本を掘ると。ニクジュヨウが掘り当てられる。それは土からにょきにょきと出てくる。それはまさに精力を増強させるような様をしているので,先人はこの植物を用いることを閃いたかもしれない。それを天日干しにしてから度数の高い酒に漬けると紹興酒のような色になり,筆者にとっては美味しく,おそらく職員の中で最も多く飲んでいたであろう。

 研究所長は内モンゴルと環境の似るウズベキスタンでも栽培できると乗り込んだ。ウズベキスタンの酒の味は内モンゴルと違うのか,味わえるのがとても楽しみだ。

  

 

 

 

 

 

 

主な参考文献

 

・牧野富太郎(2004)学生版牧野日本植物図鑑,北隆館,446pp.

・馬場多久男(1999)葉でわかる樹木 625種の検索,信濃毎日新聞社,396pp.

・高見邦雄(2003)ぼくらの村にアンズが実った 中国・植林プロジェクトの10年,日本経済新聞出版,pp.280

・全国山林種苗協同組合連合会(1987)苗木づくりの基礎知識,pp.353

・山寺喜成・信州大学農学部森林科学研究会(2003)森林サイエンス,川辺書林,253pp.

・吉川賢・山中典和・吉崎真司・三木直子(2011)風に追われ水が蝕中国の大地―緑の再生に向けた取り組み―,pp.52-63.

・浅見和弘,大林直,齋藤大(2018)乾燥地における保育ブロック工法の適用―早く,深く,根系を伸ばす節水型の緑化―,海外の森林と林業,103:9-14

・李 玉霊, 林 万里子, 坂本 圭児, 吉川 賢(2003)水ストレスが臭柏(Sabina vulgaris Ant.)とカイヅカイブキ(Juniperus chinensis var. kaizuka Hort.)の地下部の発達に与える影響,日本緑化工学会誌29 (1):107-112.

 

 

 

 

 

 

 

これまでに描いた植物画をまとめました。

 

●ミズナラ(水楢 Quercus mongolica var.grosseserrata)

 

 水楢 ・北海道から九州まで日本各地の山地に分布するブナ科の落葉高木。 幹や枝に含まれる水分が多く,燃えにくいことから「水楢」と呼ばれる。学名はQuercus mongolica var. で,ユーラシア大陸北部に分布するモンゴリナラ(Quercus mongolica)の変種(var.「バラエティー」)という位置づけである。他のコナラ属種との間での交配はしばしば発生するが,葉がまれに二重鋸歯になるのが本種を葉で見分けるポイントである。

 縄文時代には分布域の東日本で冬の保存食として重要であったが,ブナ科樹木の種子(通称どんぐり)は,リスなどの動物にとっても冬越しのための食料として重要である。備蓄のために地面に埋め,食べ忘れたたものが翌年の春に発芽する動物貯蔵型散布である。どんぐりは地面に落ちただけでは根が地面に刺さらず枯死し,また親木の下では親木から害虫をもらってしまう。動物によって遠くに運ばれれば良好に成長し,森の範囲も広がる「木と動物の森づり」が行われていく。

 

 

 

●オオイタドリ (大痛取り Polygonum sachalinense)

 

 北海道及び本州中部以北に生える大型の多年草。本州には小型のイタドリが北海道のアイヌ民族を始め、日本では伝承的に健康保持機能が強く期待される野草として長く生活に根付いてきた。今でも若芽は食品として利用され、東北地方では油炒め、和え物、酢の物、サラダなど様々な料理に用いられている。根茎は「虎杖根」という漢方として使用されている。

 筆者は,この植物と北海道美唄市の炭坑の捨て石集積所(ズリ山)で出逢った。美唄市はかつて炭坑の街として栄えたが,現在ではほとんど全ての炭鉱が閉山され,その周辺には大量のズリ山が残されている。これらの斜面は,多くが長期にわたり半裸地状態となっており,植物群集の回復はきわめて遅く,早急な植生復元が必要である。その斜面に真っ先に生育していたのがオオイタドリであり,約60%を占めていた。同種は地下茎繁殖し,斜面に大きな群落を形成する性質があるので,ズリ山斜面のかなり上部のような,変動は大きいが,肥沃な土壌が多く堆積する立地に優占したと考えられる。

 

 

 

 

●エウロアメリカポプラ(Hybrid black poplar, Populus × euroamericana Rehder)

 

 通称改良ポプラ。ヨーロッパクロポプラとアメリカクロポプラ他とを交雑して作り出された雑種。いわゆるポプラ(セイヨウハコヤナギ)と違って樹形は縦長ではなく横に広がる。並木,公園樹,パルプ材,防風林として用いられる。ポプラ類は,イタリアで交配種が生み出された始めたが,日本で林業的に生産を目的としてポプラの試験研究がはじめられたのは,昭和14年頃に国立林業試験場でポプラの育種に関する研究として,現在の中国から多数の材料が導入されてからといわれる。

 著者の住んでいた北海道と中国内陸部とが似たような景色だと思うのは,ポプラの防風林があるからだろう。防風林は,耕地に吹き込む風を減少させ,農作物を風害から守り,実に樹高の20倍の範囲で効果がある。しかし,選定や間伐などの管理をしないと,樹間の密度が増し,風が弱まらず,樹の根本で乱気流が発生すると作物に害が生じる。近年,北海道ではGPSを遮るなどの理由を含め,防風林のメリットよりデメリットのほうが大きく感じる農家が増え,防風林の皆伐が増えていると言う。一方で,風が増すことにより,100年かけても1センチほどしか生成されない土壌が何倍ものスピードで侵食される,等の警鐘も鳴らされている。中国においても,かつて防風林は作物を守るだけでなく,間伐材を薪炭材として利用してきた。けれども,その習慣が減れば,北海道と同じように,懐かしい内陸の風景も変わっていってしまうかもしれないと思うと,少し寂しい。

 

 

 

 

 

●ヤマナラシ(山鳴らし Populus tremula var. sieboldii)

 

 北海道の夏,農道を歩いていると,ヤマナラシの葉がサワサワと風にそよいで,涼し気な感覚を与えてくれる。同種はヤナギ科ヤマナラシ属の落葉高木であり,「山鳴らし」の名は,葉柄が扁平なことにより,葉がわずかな風にも揺れて鳴ることから。日本固有で山地に自生。北海道では街路樹などとして栽植される。

 別名はハコヤナギ(箱柳)であり,この材で箱を作ったことによる。材は柔らかく,加工しやすいので箱などの細工物やマッチの軸などに使われた。一般的にポプラと言われてイメージする箒状の樹木は,植物学的にはセイヨウハコヤナギである。

 

 

 

 

 

 

●エゾノバッコヤナギ(蝦夷のばっこ柳 Salix hultenii var. angustifolia)

 

 北海道の山地や平地に生える落葉樹。婆さんの東北の方言は「ばっこ」,花の様子を老婆の白髪に見立て「バッコヤナギ」となったと言われる。  ヤナギ類は同じ仲間の間で形態が似ており,同定(識別)が難しく,それを避けられることが多いようだ。ヤナギ類は川辺によく生育し,水面に張り出すように生育するので,落葉落枝や昆虫などが川の生き物たちの餌となり,「魚付き林」を形成する。そのため,生きもの工法として,栄養繁殖により,護岸工事になどに使われる。中でもタチヤナギ(Salix subfragilis)は,えら呼吸(?)をしているのではないだろうが,水中で呼吸をしているかのように生きることができる。

 

 

 

 

●コミネカエデ (小峰楓 Acer micranthum)

 

 本州・四国・九州に分布する落葉小高木で日本固有種。冷温帯のブナ林などの夏緑広葉樹林に生育する。樹高は5mほどまでで,あまり樹高は高くならないので,尾根筋や谷沿い,攪乱を受けた場所,二次林などに生育することが多い。 

 

 

 

 

 

●ヤマツツジ(山躑躅 Rhododendron kaempferi)

 

 北海道から九州まで,日本全国の山野で普通に見られる代表的なツツジであり,ツツジの仲間では最も背丈が高くなる。葉は楕円形で,枝から互い違いに生じる。暖地では常緑性,寒地では落葉性となる。サツキに似るが表面にサツキほどの艶はない。

 

 

●八重桜

 

 八重桜は,八重咲きになるサクラの総称。多くの品種が,野生種のオオシマザクラとヤマザクラなどの種間雑種として誕生した栽培品種のサトザクラ群に属し,ボタンザクラ(牡丹桜)とも呼ばれる。

 

 

 

 

 

●イチイ(一位,櫟,オンコ Taxus cuspidata)

 

 九州南部及び沖縄を除く日本全国に分布するイチイ科イチイ属の常緑針葉樹。まっすぐに伸びる幹と綺麗な円錐形,葉陰に垣間見える深紅の果実が美しく,庭園の主木,生垣等に使われる。和風のイメージが強いが,中国東北部,シベリア東部及び朝鮮半島にも自生が見られる。

 北海道や東北北部などではアイヌ語名あるいは東北地方の方言に起因するとするオンコとして親しまれ,別名(古名)のアララギも短歌雑誌「阿羅々木」によって広く知られる。 

 

 

●カラマツ(唐松  Larix kaempferi)

 

 マツ科カラマツ属の落葉針葉樹。日本産針葉樹の中では,唯一の落葉樹である。その,唯一の落葉樹であることから「落葉松」と書くこともある。天然では, 東北地方南部, 関東地方, 中部地方の亜高山帯から高山帯(標高1100m~2700m) に分布する。 日当たりと岩石が細かく崩れたような通気性の良い土壌を好み, 比較的夏に雨量が多く, 寒さ厳しい環境に生育している。

 筆者は北海道から信州に転居した際,北海道のカラマツは信州から持ち込まれた信州カラマツと知らされ,親しみを覚えた。信州は北海道より緯度が低いが,山岳地帯であり標高が高いので気温が低く,似通った植生になる。生長が早く,木材強度も強いので,気温の低い地域では戦前にカラマツによる大規模な造林が行われ,電柱や炭坑の坑木に使われる予定だったが,今日では時代に取り残された樹木となった。しかし,近年の木材加工の技術によりそれが徐々に見直されてきている。

 

 

 

 

●ナナカマド(七竈 Sorbus commixta)

 

 北海道から九州まで広い範囲に分布するバラ科ナナカマド属の落葉樹。山地に自生するが,春の芽出し,新緑,秋の紅葉,雪中に残る赤い果実と四季を通じて見所があるため公園や庭園にも植栽される。

 北国では街路や高速道路沿いに植栽されることが多く,特に北海道では複数の市町村で自治体の木に指定している。日本原産だが近縁種はアジアやヨーロッパの各地に自生する。

 材は固く,名前の由来は,「七回竈に入れても燃え尽きない」といわれる。7日間,竈で焼いて炭をつくるから,ともいわれる。

 実や紅葉が美しく,北海道などの北国では庭木や街路樹,公園樹として植栽され,花材としても用いられる。材は褐色で堅く細工物に適しており,ろくろ細工の材,彫刻材としても優良である。樹皮は染料にする。果実は果実酒にも利用できる。かたい材は備長炭の代用として優れている。

 生の果実中に存在するソルビン酸はナナカマドの学名より取られた。現在は合成したものが保存料として使用される。

 

 

 

 

 

 

●ストローブマツ(Pinus strobus)

 

 北米の主要な造林樹種で,明治31年,旭川営林支局の外国樹種見本林にヨーロッパトウヒなどとともに北海道内で最初に植栽された。

道産のエゾマツ(Picea jezoensis)やトドマツ(Abies sachalinensis)に比べて密度が低く強度性能はやや劣るが,北海道の立地・気象条件に対する適応性が高く,また成長が早いことから昭和30年代~40年代後半にかけて国有林・民有林を中心に植栽が進められた。

 ところで,学名に詳しい方はお気づきだろうが,エゾマツやトドマツはマツではない。エゾマツはトウヒの仲間,トドマツはモミの仲間なので,本来はエゾトウヒ,トドモミと呼ばれるべきである。このように植物の名前は親しみやすいが,しばしば誤解を生むので,学名を覚えればそれが避けられ,かつ系統を正確に把握することができる。北海道の著名な生態学者,伊藤浩司博士の野帳はすべて学名表記であったという。しかし,分子生物学が発展してくると,リンネから続く形態学的分類法では近いとされていた種も,全く異なる系統であることが明らかになり,訂正されることがある。学名を一生懸命に覚えてきた人たちからは,「訂正の度に苦労が水の泡になった気分だ」と嘆く声を耳にすることがある。

 

 

 

 

●クリ(栗 Castanea crenata)

 

 市販のクリには見られないが,野生のクリを割って食べようとすると,目につくのが2mm程度の穴である。これはゾウムシ(Curculionidae)の幼虫の食害であり,筆者が種子の保存,食用とするとき悩まされた。一度卵が孵化してその幼虫により1匹に食害されただけで,その種子全体に悪臭がおよび商品価値が大きく損なわれる。被害を受けやすいのは9月中旬以降に収穫するもので,それ以前に収穫の早生グリには被害はあまり見られない。

 クリの類はいずれも原生種の利用価値が高いため,それぞれの地域で古くから利用されてきた。中国では,紀元前5000年ころの仰韶文化に属するといわれる半坡遺跡でクリ,ハシバミなどの堅果が発掘され,3000年前には陝西に栽培があったといわれる。『詩経』『論語』『周礼』などにも表れ,2100年前には経済栽培があり,良品種が栽培されたという。日本におけるクリの利用は野生種シバグリの利用に始まり,その歴史は古く,『古事記』に記載がある。奈良朝から平安朝にかけては大果の品種も現れた。

 

 

 

 

 

●ギンドロ(銀泥 Populus alba)

 

 ヨーロッパ中南部から西アジアを原産とするポプラの仲間で,明治中期に日本へ渡来した。白黒の線画では表現しづらいが,その名のとおり葉の裏が白く銀色に輝く美しい葉を持つことが特徴で,遠くからでもよく分かる。リースやドライフラワー,押し花などの花材として人気が高い。他に公園樹,街路樹,北海道北広島市では防風林として利用されている。花は4月頃,葉より早く尾状花序を下に垂れる。雌雄異株。

 

 

 

 

 

 

 

●トウグミ(唐茱萸 Elaeagnus multiflora)

 

 果実が,お菓子のグミと関係があるかと思ったら無いらしい。果実は7月に成熟し,同じグミの仲間であるナツグミやアキグミよりも大きくなる(直径3センチ程度)。渋味がほとんどなく甘みもあるため生食に耐える。表面に銀白色の星模様があるのが特徴。中国を意味する「唐」とは名付くものの,日本の在来種で,北海道,本州に分布する。

   

 

●テマリカンボク(手毬肝木 Viburnum opulus var. calvescens)

 

 スイカズラ科ガマズミ属の落葉樹。紫陽花に似た花を咲かせる。葉は円形ないし楕円形で,楓の葉のように浅く3つから5つに裂ける。 手毬型の花が咲くものには同属の大手毬(オオデマリ)があるが,こちらは葉が卵形で裂けないので区別できる。 

 

●サトウカエデ(砂糖楓 Acer saccharum)

 

 カエデ科の落葉高木。樹液に砂糖分を含むのでサトウカエデの名がある。アメリカ北東部からカナダにかけて森林を形成している。高さ40メートル,幹の直径90cmに達する。葉はカナダの国旗にデザインされているもので,9~15cmの大きさで対生する。秋の黄葉が美しいので街路樹や庭園樹にする。4~5月,新葉とともに黄色の花をつける。樹液は,3~4月中旬に,管を挿入して容器に受ける。液は2~5%の砂糖を含み,煮つめてメープルシロップをつくる。 

 

●ヤマグワ(山桑 Morus australis)

 

 沖縄のシマグワとは同一とされるが,沖縄産は果実の甘味が強く,年3~7回結実する。

 葉は互生,有柄で,卵形または広卵形。分裂しないものから,2~5裂するものまでさまざま。基部から3主脈が出る。縁には大小の鋸歯がある。

 樹皮は灰褐色で,縦に細かいすじがある。カミキリムシの幼虫をはじめ食害されることが多く,古い木は荒れた感じになる。枝や葉を傷つけるとアルカロイドが含まれている白い乳液が出る。乳液は虫害を防ぐ効果があるが,蚕はこのアルカロイドに耐性を持っている。 

 

 

●ノムラモミジ (野村紅葉 Acer palmatum var. amoenum cv. Sanguineum)

 

 イロハモミジ(Acer palmatum)の園芸品種で,江戸時代から庭木として使われる。濃紫紅葉とも書き,アントシアニンが多いため,常時紅葉している。暖地では,夏になると葉の色は緑色に変わるが,秋には再び紅葉して色づく。春から秋にかけての色彩の変化が楽しめる樹木である。

 

 

●ハウチワカエデ(Acer japonicum)

 

 秋の紅葉がとても美しく,葉が掌状に9~11裂し,楓のグループの中では最も大きい。花もカエデの中では大きい方で,直径1cmほどあり,紅色の萼片が美しい。学名は,日本を代表する意味と捉えることができる。属名の Acer は「裂ける」という意味のラテン語からきていて,種小名の japonicum は「日本の」という意味である。

 「カエデ」と「モミジ」の植物学的に明確な区別はなく,一般的に葉の切れ込みが深いものがモミジ,浅いものがカエデと言われやすい。 

 

●ヤシャブシ(夜叉五倍子 Alnus firma)

 

 カバノキ科ハンノキ属の落葉高木。日本固有種で,西日本に多く自生する。マメ科ではないが,根粒菌と共生するため,緑化樹木として利用される。ヤシャブシの名の由来は,熟した果穂がタンニンを多く含み,五倍子(フシ)の代用とされ,オハグロに使われた。

 

 

 

 ●ネグンドカエデ(Acer negundo)

 

 図鑑で調べる前までこれをカエデとはわからなかったが,アメリカ太平洋沿岸を原産とするカエデの仲間。欧米や中国北部で古くから街路樹として植栽されており,日本には1800年代に渡来した。北海道を中心として公園や街路に使われる。

 

 

 

 

 

●リョウブ(令法 Clethra barbinervis)

 

 リョウボ(良母)とも呼ばれる,リョウブ科の落葉小高木。若葉は山菜とされ,庭木としても植えられる。昔は,飢饉のときの救荒植物として利用された。日本以外では韓国の済州島に自生する。7月から9月に枝先に長さ10~15cmの花穂をつける。

 

 

 

●ヌルデ(白膠木  Rhus javanica )

 

 ヌルデは落葉の小高木で,樹高7mほどに成長するとされているが,大きくなることは少ない。伐採などの撹乱跡地にいち早く生育する代表的な先駆樹種であり,比較的水分や土壌条件の良い場所に生育する。種子は土中で20年以上の寿命を保っているという。土の中で粘り強く伐採や倒木などの撹乱を待っている植物の1つである。

 果実の表面にはワックスがあり,果実を集めて手で揉むと濡れたような感触がある。それでヌルデと呼ぶのかと思えば,傷つけたときに出る白い汁を塗り物に使用することに由来するという。ヤマウルシなどに比べるとかぶれにくいようで,よほど敏感な人でなければかぶれない。果実の表面には塩分があり,鳥に好まれる。

 ウルシ科の植物は,その強弱はあれどかぶれることが多く,ヤマウルシは触らなくても,近くを通っただけで痒くなる人がいる。ところが,証拠は乏しいが,ウルシにかぶれる人は,ツバキ科の植物を食害するチャドクガの幼虫にかぶれにくい傾向があるように思う。幼虫は一列に並んで隣の枝に移動していく。何らかの刺激があると,思い出したように頭を上げ左右に振るのを見ることが出来る。数十匹の幼虫が一斉に同じリズムで頭を振る姿はユーモラスである。この行動により,かぶれの原因となる毒針毛を飛ばしていると考えられる。知人の異色の造園家は,害虫の生態を理解するため,自宅の一部屋を害虫にあてがっおり,チャドクガも飼育していた。満月の夜に孵化したという。

 

 

 

●ムラサキツメクサ(紫詰草 Trifolium pratense)

 

 「雑草という草はない」と,小学校の校長先生が朝礼で話していた。その話は全体として何を言っていたのかはよく覚えていないが,生徒一人ひとりに名前があり,雑草のようにたくましく育ってほしいという話だったような気がする。

 雑草は,踏まれても踏まれても立ち上がるたくましさの象徴,という印象があるが,実は他の植物との競争に負けているという面はあまり知られていない。雑草を森林の中で見たことはあるだろうか。一見どこでもしぶとくていけそうだが,太陽光を充分にもらうことができなければ,多くの植物が生存競争を繰り広げる森林では生きていけない。また,地中の養水分競争にも強くない。そのため,痩せた土地や踏みつけられやすい場所,土砂崩れなどで森林に空いた空間などの生態的隙間(ニッチ)をみつけ,競争から逃れて生きている。

 ムラサキツメクサは,道端に普通にみられる最も馴染みのある雑草の一つだ。牧草や家畜飼料として広く栽培されているほか,土壌を肥沃にする空中窒素固定作用もあり,緑肥としても利用される。むき出しになった大地にかさぶたで覆うように土を保護し,次に現れる植物の下地をつくっている。

 ムラサキツメクサは,南欧原産で,マメ科シャクジソウ属の多年生野草。日本では北海道から沖縄まで分布する。

 

 

 

 

●ズミ(酸実 Malus toringo)

 

 リンゴに近縁な野生種である。語源は,染料となることから染み(そみ),あるいは,実が酸っぱいことから酢実,とも呼ばれる。

 

 

●ミズキ (水木 Cornus controversa Hemsley)

 低山,原野で普通に見られる落葉樹。陽樹。湿潤で肥沃な土壌を好む。春先に枝を切ると水が滴り落ちることが「水木」の名の由来。よく街路樹に植栽されるハナミズキ(花水木 Cornus florida)はアメリカ原産で,花がピンク色をしている。

 

 

 

 

●イヌコリヤナギ(犬行李柳 Salix integra)

 

 北海道~九州の乾燥した場所にも生えるが,川沿いに多く,最も普通に見られるヤナギ。高さは1.5mほどで,株立する。ヤナギでは珍しく葉は対生する。

 

 

●ベニバナハリエンジュ(桃色針槐 Robinia pseudo-acacia cv.Purple Robe)

 ニセアカシアの園芸品種で,花は薄紅色を帯び,ずんぐりむっくりしている印象がある。

 

 

 

 

 

●ヨーロッパトウヒ(Picea abies)

 

 ヨーロッパ原産の常緑針葉樹。通直性に優れた大高木で原産地では高さ60m,直径2mにも達するという。分布はギリシャ北部を南限とし,北極圏(スカンジナビア半島)まで広がる。肥沃な土地を好むが低地の泥炭地から森林限界付近まで生育範囲は広い。浅根性のため風害や乾燥害を受けやすい。ヨーロッパに分布するトウヒ属の代表格であるとともに,ブナ,ヨーロッパアカマツと並ぶ主要な造林樹。

 

 

 

 

●シラカバ(Betula platyphylla var. japonica)

 

 北海道・岐阜県以東の本州に分布する落葉高木。樹皮は白く,シラカンバ(白樺)の由来となっている。横に引き延ばされた皮目が点々とあって,白い樹皮にコントラストを与えている。種子は鱗片とともにばらけて散布される。種子には翼があり,風で散布される。

 

 

●シモツケ(下野 Spiraea japonica)

 

 バラ科シモツケ属に分類される落葉低木の1種。別名,キシモツケ(木下野)とも呼ばれる。本州,四国及び九州に分布するバラ科の落葉低木。日当たりのよい山地の草原や岩場に自生するが,他に花の少ない夏季に長く咲き続けるため,観賞目的で庭木として栽培されることも多い。日本以外の東アジアにも見られる。赤い花をつける。

 下野の国(現在の栃木県)に自生が多かった,あるいは最初に同地で発見されたことから,シモツケと命名されたとされる。ただし,これには疑義もあり,花穂に霜が降りたように見えるため「霜付け」となったという説もある。

 

 

 

 

 

●ダイコンソウ(大根草 Geum japonicum)

 

 初夏から夏に可愛らしい花を咲かせる多年草。ダイコンソウ(大根草)は葉がアブラナ科の大根の葉に似ていることからこの名が付いた。けれども,ダイコンとは全く関係が無く,根が太いわけでもない。

 日本では北海道~九州の山野に自生している。草丈は50~80㎝ほど。全体にやわらかな毛が密生していて,花は黄色で直径1.5~2㎝。花が終わると小さないがぐりのような実ができる。これは人や動物の服や毛にくっついて種を遠くまで運ばせようとする動物散布型種子,いわゆる「ひっつきむし」である。

 花は,明るい色をしていることから「希望にあふれる」というような前向きな花言葉になったという説があったり,種が人や動物などにくっついて遠くまで運ばれて未来が開けるという説などがある。

 

 

 

●ギボウシ(擬宝珠 Hosta sp.)   

 

 ギボウシ属は世界の温帯地域で栽培されている多年草。野生種は東アジアの特産で,最も多くの種が分布する日本列島では各地に普通に見られる。海岸近くの低地から亜高山帯,湿原から岸壁まで生育環境も多様。

 

 

●モクゲンジ(木患子 Koelreuteria paniculata)

 

 『落葉広葉樹図譜-冬の樹木学』(斎藤新一郎著)に感動し,冬芽をスケッチしてみた。本州(日本海側,宮城県,長野県)の日当りのよいところに生える。高さは10mほどになる。冬芽は円錐形。芽鱗の縁には毛がある。葉痕はハート形。 

 

●サンショウ(山椒 Zanthoxylum piperitum)

 

 土用丑の日にはうなぎにサンショウをたくさんかけて食べたくなる。しびれるような辛味成分サンショオールは,食欲増進や胃腸の働きを活発にし,抗菌や殺菌作用もある。料理に添えられる若葉は食材として木の芽とも呼ばれる。うなぎだけでなく桃とも良く合い,カマンベールを添えて食べると洋風の酒の肴として美味しく頂ける。

 サンショウ科・サンショウ属の落葉低木で,山地の雑木林などに自生する。名前の由来は,「椒」の字には芳しい・辛味の意が有り,山の薫り高い辛味の実であるため「山椒」の名が付けられたと考えられる。

 

 

 

 

 

●サワラ(椹 Chamaecyparis pisifera)

 

 長野県でスケッチした。本州北部から中部,中国を経て九州に至る。木曾地方・飛騨地方に多く,江戸時代には木曽五木の一つに指定され保護されていた。幹高は30mに達する。建築材,器具材のほか,桶や障子・襖の組子の材となる。

 

 

 

 

 

●スギ(杉 Cryptomeria japonica)

 

 花粉症の原因として,いつの間にか悪者扱いされてきたスギの木。実は昔から日本人と深い関わりを持ち,大切に植林,管理されてきた日本固有の植物であることは意外と知られていない。学名,クリプトメリア・ヤポニカは「隠された日本の財産」を意味する。1種1属の常緑針葉樹で,日本にのみ生育する固有種。環境に適応する力が高く,病害に強い上に成長スピードも速く,二酸化炭素(CO2)の吸収量も大きいという優れた特徴をもつ。

 2021年,気候変動に関する科学的分析や予測などをまとめる国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は,人間の活動が温暖化を引き起こしていることは「疑う余地がない」と初めて報告書に明記した。「疑う余地がない」とは,国立環境研究所の江守博士によると「100%」の意味である。2010年頃は,地球の気温上昇が止まったこともあり,CO2削減は原子力を推進する者たちの陰謀だなどと主張する温暖化懐疑論が盛んになったが,近年は実際に気温が再び上がり,懐疑論は声を潜めている。地球の周期で気温が下降に転じるのはIPCCのシュミレーションによると五万年後だという。たった数百年で気候を大きく変化させてしまった人類なので,五万年後まで生存できている分からないが,スギは存在するだろう。植林されたスギ林は放置され,日本の山は荒れていると言われて久しいが,近年の円安により日本の木材自給が向上するとの予測もある。「日本の隠された財産」は,木材としても,環境対策にしても,今後の日本を救ってくれることになるかもしれない。

 

 

 

●コウヤマキ(高野槙 Sciadopitys verticillata)

 

 コウヤマキは,古くから存在するコウヤマキ科 (Sciadopityaceae)の現存する唯一の種である。その日本 における価値は,生態学的にも文化的にも高い。かつては世界中に広く分布していたが,新第三紀では北アメリカで,更新世にはヨーロッパでも滅び,自生集団は日本にだけ残存している。

 

 

 

 

 

●イヌガヤ(犬榧 Cephalotaxus harringtonia)

 

 岩手県以南から南九州の山地に分布するイヌガヤ科の針葉樹。植物名に「イヌ」がつくのは「役に立たない」という意味である。葉がカヤに似るものの,カヤのように実(正確には種子)を食べることはできない。日本のほか朝鮮半島や中国の暖地,東南アジアに見られる。

 北海道には同種の変種であるハイイヌガヤ(Cephalotaxus harringtonia var. nana)を多く見るが,これはその名の通り,上に伸びず地面を這うように生きている。豪雪地帯では雪の重みで折れないように,柔軟に生きているということだろう。

 

 

 

●ハイマツ(這松 Pinus pumila)

 

 中央アルプス木曽駒ヶ岳で,尾根筋の厳しい環境に耐えるハイマツ群落を見た。これは山岳地帯の環境が厳しい森林限界(環境によって高木が育たずに森林を形成することができない境界線)付近で地面を這うように,また絶滅危惧種の鳥類であるライチョウなどを育み,たくましく生きている。筆者も地面を這うようにしぶとく生きなければならない。

 

 

 

●エンジュ(槐 typhnolobium japonicum)

 

 中国北部を原産とするマメ科エンジュ属の落葉高木。性質が丈夫で管理に手間がかからないことや木全体に薬効があることから,日本全国に街路樹あるいは公園樹として植栽される。ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia)は北アメリカ原産の落葉高木で,ニセアカシアの別名である。 

 

●アカソ(赤麻 Boehmeria silvestrii)

 

 高さ50~100cmの多年草。古くは衣服などの植物繊維の材料とされた。山地のやや湿った部分に生育し,北海道,本州,九州,朝鮮半島に分布する。

 

 

 

●リンゴ(Malus)

 

 一般的にリンゴと呼ばれているものは,植物学的にはセイヨウリンゴというバラ科の落葉樹。原産は中央アジアであり,西廻りおよび東廻りで世界中に広まった。紀元前から栽培され,世界中で最もよく食べられている果樹の一つである。7500以上の品種が栽培されており,亜寒帯,亜熱帯および温帯で栽培可能である。暑さに弱いため,熱帯での栽培は難しい。

 不可能とされた,リンゴの無農薬栽培に成功し,映画『奇跡のリンゴ』のモデルとなった木村秋則氏の話は,津軽弁で語りかけるような口調が人の心を動かす。木村氏の奇跡のリンゴの正体の重要な要素は土壌菌の力だという。土の力は,物理性,化学性,生物性,で決まるが,最も研究が遅れているといわれるのが生物性である。驚くべきことに,小さじいっぱい(1g)あたりに約1億~1兆の土壌菌(微生物)が存在するといわれている。したがって小さじで土をすくうと,そこには日本の人口以上に相当する生きものが存在していることになる。そして,それぞれが複雑な働きをしていて,そのほとんどが明らかにされていないだろう。

 木村氏は奇跡の起こし方についてこのように語った。「答えはいつもすぐ近くに,でもいつもは見えない世界にある,その見えない世界に気づく視点を持つことが大事,“答えは必ずある”」と。

 

 

 

主な参考文献:

・牧野富太郎(2004)学生版牧野日本植物図鑑,北隆館,446pp.

・馬場多久男(1999)葉でわかる樹木 625種の検索,信濃毎日新聞社,396pp.

・Wikipedia

 

 

こんにちは。

 

ブログをしばらく更新していませんでしたが、いかがお過ごしでしょうか?

 

ブログを更新してない間、コロナ下で街の景色が変わっていきました。残念ながら閉じざるを得なくなってしまったお店も当然たくさんあります。しかし、あらたに新しい事業を始めているお店もあります。

 

そんなことからか、壁画を頼まれる機会が増えてきました。

 

 

東京の虎ノ門で描いたシーサーと虎の壁画

 

もともと那覇でお店を出していたオーナさんは虎好きで、息子さんのお名前も虎ちゃんということ。「沖縄から来たシーサーが虎ノ門で新たな挑戦をしようとしている」というイメージでこの壁画を描かせていただきました。

 

昨日、テレビに出ていたらしい。本当を言うと緊張で思うような絵が描けず、面白いコメントをいうことができなかったと思うので、自分では恥ずかしくて見ていないのですが、今まで描いたお客さんをはじめ、友達、後輩など様々な人が見てくれて連絡をくれて、励ましのメッセージをくれて、心が熱くなりました😂テレビでも絵の面白さが伝わるものが描けるようになりたいと思います。

 

日本テレビのスタッフの皆さんには、口下手な私をフォローしていただき、お手数をおかけしました!たいへんお世話になりました。

 

 

皆さんありがとうございます!!!!!

 

 

イラスト(似顔絵)をテレビCMに使っていただきました!
 
まだまだ「絵描き=生活できない」イメージを感じることの多いこの世の中、もっと色々な用途でイラストが使われれるようになり、絵描きが安心して食べていけるようになればなあ、と思います。
 

 

以前の店舗に立ち寄られたお客様が一年ぶりに訪ねて来て似顔絵イラストをまた注文していただきました!

 

以前の店舗はたたんでしまっ他のですが(T ^ T)、わざわざ調べて来たくれました。

 

以前の似顔絵と並べて家に飾ってくれました!本当にありがとうございます(^○^)

久しぶりに肖像画のご注文をいただきました。息子さんと二人で旅行をし、いく先々で似顔絵を描いてもらっているなんて、素敵なことだと思います。なんともう8枚目になるのだそうで、今回は島の風景を背景にしました。