前回の更新から、ずいぶんと時が経ってしまった。
闘病ブログの場合、途中で途切れると、
「もしや?もしや?」と心配になる。
心配して頂いた方、ありがとうございます。

おかげさまで私は元気である。
毎週、ラジオのパーソナリティをやって、
不景気ながらもナレーションの仕事を受け、
年末年始はお酒を飲みにも行った。

「実は大病をしたのよ」という話になると、
「お酒好きだものねぇ。肝臓でしょ?」
と言われるくらいに元気だ。


一方で、悲しいニュースもある。
ブログを始めた当初、いろいろな方の闘病記から、
元気を頂き、励まされた。
みんなに希望を与えてくれたブロガーさんが、
天に召されてしまったり・・・


1月生まれの私は、つい先日誕生日を迎えた。
3年前で終わってしまったかもしれない誕生日を、
無事に何事もなく迎えて、
周りにいる友人たちに沢山お祝いをしてもらった。
本当に嬉しかった。


その私の誕生日に、彼が天に召された。


知り合ったのは、3年前。
重い患者しかいないガン病棟。
お互いに第4期のがん患者で、彼は虫垂がんだった。

背が高く、ハンサムで、穏やかな人だった。
私は自分自身が破壊されるだけで、
なかなか効果が表れない抗がん剤治療に悲鳴をあげていて、
病人である自分にも、
負のオーラが漂う病棟にもうんざりしていて
絶望していた。

お互いに入退院を繰り返す身であった。
どちらかが入院しているときには、
通院する度に互いの病室を見舞った。

入院時期が重なる時には、お互いの体調がいいときに、
公共スペースで待ち合わせをして、
消灯になるまでずっとずっとおしゃべりをした。

時には、病院の食堂でデートを楽しんだりもした。

彼はすでに余命を告げられていたが、
なぜか私よりも元気で、活動的で、
いつもいつも励ましてくれた。

二人とも家にいる時には、毎晩電話をした。
私の携帯がソフトバンクなのを知った彼は、
「専用ホットライン」だと言って、
わざわざソフトバンクに加入してくれた。

音楽の話。
映画の話。
世界中を旅してきた彼の冒険談。

尽きることのない話で、暗く長い夜を満たしてくれた。

私が涙を流すたびに
「僕が元気だったら、抱きしめてあげるのに」と笑った彼。


最後に会ったのは、都心のホスピス。
彼がリクエストしたCDを持って行った。

やせ細った手を握ったら、目に涙を浮かべた。

それから彼は、神奈川のホスピスに移っていった。
疲れてしまうから、お見舞いには来ないでくれ、と言われた。
私の身体を案じてくれたのもあるだろう。

それから電話も途絶えた。
しゃべっているのがしんどくなったらしい。
メールの文章には、壮絶な苦しみと闘いながらも、
生きることへの希望や、
生命そのものに対する愛があふれてた。

私には、頑張って生きろと。
苦しいことも悲しいことも生きていればこそ、
生きることを謳歌しろ、と。

メールだけのやりとりも、去年の暮れは、
ご家族の代筆だった。


彼が逝ってしまったのだと知った時、
私は動転してしまって、涙が止まらなくて、
こんなときに、いつも彼に電話してしていたのだと
胸が張り裂けてしまった。


よく頑張ったね。
今まで、本当に頑張って生き抜いたね。
何度重ねても、足りないけれど、本当にありがとう。
安らかに、ゆっくり休んでね。

いつか私が天国に行ったら、またデートしようね。

「You light up my life」 by Debby Gibson