お店には、本当に色んな人たちが来店されました。
そして、私はカウンターの中から、お料理やお飲み物を提供したり、
キープボトルでウィスキーを作りながら、お客様とお話ししている間に、
お客様がこのお店で過ごす少しの時間の中で、
それぞれの人間ドラマを垣間見ることができました。
お店の中央に白いグランドピアノがあって、
だみ声のおじさんが、弾き語りしてましたが、
お客様の歌いたい曲のリクエストに応え、演奏してくれました。
その中で、毎週一人で来店する30代くらいの男性、
毎回リクエストして歌う曲は、「丘を越えて」
すごく調子よく、テンポ良く、よく通る声で歌っていました。
そして、歌い終わると、一人静かに帰っていきました。
ある有名な上場企業の20代OL三人組。
一緒に来る男性陣は、毎回変わっていて、
いつもボトルキープしてくれました(男性が)
その中でも、特に綺麗で大人しそうな女性、
でも、どこか欲求不満っぽい()雰囲気で、
毎回リクエストして歌う曲は、毎回、「サントワマミー」
決して上手くはないけど、力を入れず、スルリと、
そしてはかなげに歌いあげ、
歌い終わると、満足げに席に戻っていきました。
私も、下手でも、なんかいい感じに聞こえるこの歌い方を真似て、
ひそかに練習してました
当時テレビで深夜に放映されていた「アダムスファミリー」の様な二人組。
女性は白塗りに黒い太めのアイライン、真っ赤な口紅のバッチリメイク、
男性は肩までの長髪で、少し化粧をしていて、細めのパンツ、
アニメの男の子のようでした。
二人とも、毎回真っ黒な服装の、すごく背の高いカップルで、
奇妙で、奇抜な二人なので、他のお客様も遠巻きにしてましたが、
二人いつも静かに飲んでいて、たまに話しかけると、
すごく幼い可愛い笑顔を見せてくれました
一体、何歳だったんだろう
外資系の化粧品会社に勤めていて、
アメリカに2~3年勤務していたという、
元スクールメイツ(知ってるかな?)所属で、
百恵ちゃんのバックで踊ったことがあるという女性。
アメリカ仕込み()の濃いメイクで、
常に自信ありげに話していました。
アメリカ女性の真似をして、強気で自分の意見をはっきり言う、
自己主張が強く、いつも突っ張っている感じでしたが、
どこか寂しそうでした。
~ 続く ~