ネイム・レス・マインド

ネイム・レス・マインド

感情と変換の物語。

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「ヨウーおーはよ!」





睡眠登校中に頭に声が響く。





「ちゃんと起きてるー?遅刻しちゃダメよ!」





人知れず溜息をつく。




ぼくの貴重な睡眠時間の妨害は大体コイツのせいだ。





そして一番手に負えない部分は、こちらからは返事が出来ないということ。



つまり一方的にあっちがしゃべりまくるのを聞くだけというはた迷惑な構造が出来上がる。





「あー、もしかして私の声で起きた?早くしなきゃ!ほら!いつもそうなんだからー!あ、そういえばね、今日新しく買った服着てきたのよー。楽しみにしててね!」





・・・・




「それでねー、朝ごはんはなんと納豆だったの!あのくさーいやつよ!鼻つまみながら食べちゃった!あ、そういえばお母さんがヨウくん最近うちにこないわねって。今度晩御飯食べにくるように誘っておいてって言ってて・・・・・・」






長いので割愛するが、30分ほど彼女のマシンガントークを聞いていたことはどうか忘れないでほしい。





どうにか大学の教室につくと彼女と他に2人がこちらに来た。





ちなみに余談だけど、ぼくは、感情《ゼロ》「自らで完結している人間」なんて呼ばれていた。




つまり感情なんてなかった、コイツらに会う前まではね?








「ヨウーおはよ!」



「うん、おはぐぼぁ!!」




突然だけど、おはようからドロップキックをかましてきたのコイツはアキ。



まあ見ての通り天真爛漫という感じでアグレッシブ、金髪のポニテに黒のつり目の女の子だ。ぼくには手加減というものがなく、こんな紹介している途中だけどぼくは5m近く地面から上に吹っ飛んでいる。



感情属性は身体的な力の増幅に寄っているのは説明するまでもない。






吹っ飛びながらの紹介で申し訳ないが続けさせてもらうとする。




ホンの右後ろで心配そうにオロオロとこっちを見つめている小っちゃいのがメリー。赤髪でストレート、褐色の目の女の子。ぼくが言うのもなんだけど、攻撃的な外見からは想像できないくらい心配性、そして優しくていい子、うん、もちろん客観的に見てだよ。




メリーはマインドコントロールに寄ってる力を持ってる。





メリーの横で笑いながらこっちを指さしてるのが、朝からマシンガントークをぼくに送っていたホン。髪の毛は茶色、目がおっきく凛々しい顔、目も茶色だ。おおざっぱに見えるけど、世話焼きして面倒見がいいのはコイツ、ストッパー役として正直助かっている、あまり効果はないみたいだけど。




ホンは簡単に言うとテレパスみたいな力が得意。








っと、ようやく地面につけそうだ、我ながらなかなか素早く、かつ要点をまとめた紹介だったと褒めてあげようかな。





ドスンッ・・・





「アハハハハハ、頭から行ったよ!」




「ヨウ、大丈夫ですか?」




「ごめん!結構力たまってたみたい!そんな飛ぶとは思わなかった!」





そして、朝っぱらから5m吹っ飛ばされて顔面から華麗な着地を決めたのがぼくだ。平均よりやや痩せ、平均的な黒髪、平凡な、チャラついても真面目でもなさそうな大学生、ヨウタである。






ここにいるぼくを合わせたこの4人は、大学の新規定特別抜擢に選ばれたメンバー。




新規定特別選抜とは、簡単に言うと、感情力がある一定を超えた、まあ強い人の集まりになっている。





ちなみにぼくは、感情属性は測定不可、ちょっと特殊な人間に出来上がってしまっているせいで、見事抜擢されてしまった。




ぼく以外は精密判定でSSS+をオーバーした人だけだからみんなとってもすごい人なんだよね。




あと他に何人かいるんだけど、それはまた会ったときに紹介しよう。




そして自慢だけれども、ぼくは新規定特別抜擢の会長を務めさせてもらっている。







「アキ、いつからきみの挨拶はドロップキックになったんだい」






ぼくも一応《力》を使ったから別に痛くはないんだけど、びっくりするからやめてほしいものだ。





「いやー、加減が出来なくって、最近なんもしてないから力が有り余っちゃっててね!」





確かに、感情を力に変換できる世の中になってからは、体を鍛える意味が全くなくなってしまった。というよりも感情の力を無意識のうちに使ってしまうので、体を鍛えることが難しくなった。



もちろん感情にも容量という概念は存在するが、基本的に感情自体がタイムリーに供給されるものだから、枯れることはないと言われている。例外はあるがそれはまた今度。






「そっか、でも次からはこんな体に刻む挨拶はやめてほしいかなー。メリー、おはよう」





「おはようです、怪我なかったですか?」





「大丈夫だよ、ありがとう。」





うん、やっぱりいい子だなー。本当に心配そうにこっちを見ててくれるからとても嬉しい限りだ。





「ヨウー、私に挨拶は?」





「ホンは朝からしゃべっていただろう、ぼくの脳みその中で」





「むっ、何を話していたんだよー、あたしはホンに直接脳にしゃべられたことないよー!?」




アキが割り込んでくる。というかぼくだけなのか、あの睡眠妨害を受けているのは。






とまあ会話していたところで授業も始まったので真面目に受ける・・・






フリをして寝た。





ぼくの特技は目を開けたまま寝ることだからね、結構役に立つんだよ。







そんなこんなでいつも通り過ごしていたこの日の昼に、ぼくは学園長からの依頼を受けた。






そして、夕日が沈む頃に、この事件は起きた。










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