太陽のやさしさ                         
                                     
                                     
部屋の片隅でカーテンを引き千切り
 爪に滲む血を眺めながら鼻を鳴らし 踞っているあなたを観た       
  一体 何が勃ったというのか? 
   私を忘れた昨日のあなた
    街路樹の脇にしゃがみこんだ子犬の首環には
     潰れて鳴らない鈴がぶらさがってる               
      一体 何が起ったというのか? 
       私の眼を見ていた頃のあなたに ----------------
        海に泛ぶ朝陽はかつての二人のため            
         指を鳴らし ステップを蹈む浜辺            
          あなたと過したあの夏の日
           あの太陽の優しさをあなたに……

                  .
靴の跟がペチャンコに磨り減っても
 同じ場所を歩き迴っているあなた
  車のシートにしがみついて
   それを見ていた人達もどこかへ行き
    澄んだ星空を待ち構えているあなた
     その脚元で風に靡く鳥の羽                  
      地面にへばりついたまま何処へも翔ばない
       川のせせらぎはやがて海まで届き
        あなたの歩く路もここまでは続かない           
         たとえ途中で自転車を拾おうとも
          もう一歩も進まない
           海に泛ぶ朝陽が私の心を満たす           
            指を鳴らし 蹈みだすステップが刻まれる浜辺   
             あなたにも観せてあげたい空の艷
              あの太陽の優しさをあなたに……

 

 

 

taken from ”BAD LIFE ”