生まれた時、すでに僕は殺人者だったのだ。
あらすじ
中絶手術を専門とする古河リョウは、自宅の地下で10人以上も人を殺しては海に捨てていた。
彼の目的とは、そして次は誰を殺すのか。
リョウ自身はどこへ向かっていくのか。
感想
グロい描写が多いのだが、主人公の一貫した信念や後悔のなさは何かスッキリしたものを感じる。
彼自身も何が自分を突き動かしているのかが分かっていなかったが、ほしかったものはただ一つの母からの絶対的な愛だったのだろう。
母から受けた虐待や、弟か妹になるはずだった子の中絶は仕方のないことだった、合理的なことだったと思い込むために主人公は生きてきたように思えた。
あくまでも『自分の身勝手な』判断基準で、『偶然』自分の目の前に現れた許せない者を殺す。
誰もやりたがらない中絶専門病棟の責任者を引き受け、毎日『きちんとした仕事』として胎児を殺す。
そのように毎日を過ごすことで、幼少期の自分の心の傷は大したことではないと無意識に思い込もうとしていた。
ついに母を牢獄に閉じ込めたあと、最終的にどうしたかは書かれずに物語は終わる。
その後を想像するわくわくがあった。
できればリョウの家でひっそり二人暮らしでもしてほしい。
それとも、用無しになったら他の人と同じく殺してしまうのだろうか…



