ビジネスの世界において、ロジカルシンキングは非常に重視されています。そして、論理的に伝えるロジカルコミュニケーションもまた、極めて大切なスキルとされています。しかしながら、思考法としてのロジカル、そしてコミュニケーション手段としてのロジカル、その両方に、看過できない重大な課題、いえ、さらに良くするためのおおきな伸びしろが存在するのです。本日は、その点について詳しくお話ししていきましょう。より良い方向へ進むためのヒントとして捉えていただければ幸いです。

ロジカルシンキングとアイデア発想の必要性

まず、思考法としてのロジカルシンキングについて考えてみましょう。「考える時にはロジカルに考えると良い」とよく言われます。フレームワークを用意し、それに沿って情報を整理すれば、物事が明確になり、考え方も正確になるとされています。例えば、「6W3H」といったフレームワークは皆さんもご存知でしょう。

しかし、ここで一つ疑問が生じます。これらのフレームワークに情報を書き込む際、果たしてロジカルに情報を集めることができるのでしょうか。実は、フレームワークを埋めるためには、まずその前提として、自由なアイデア発想によって多くの情報を集める必要があります。つまり、ロジカルシンキングの枠組みを活用するためには、その前にアイデア発想というプロセスが不可欠なのです。

脳の働きで例えるなら、ロジカルシンキングが左脳的な活動だとすれば、アイデア発想は右脳的な活動と言えるでしょう。つまり、両方の脳の働き、両方の側面からのアプローチが必要となるのです。確かに、ロジカルシンキングは多くの企業にとって共通言語となり得ますが、それだけでは物事を十分に整理し、問題解決を行うことはできません。まず、様々な角度から情報を引き出す「アイデア発想」があり、その後に「ロジカルシンキング」が機能することで、初めて真の意味を持つと言えるでしょう。そう、発散と収束の療法が必要なのです。

ロジカルコミュニケーションにおける「感情」の重要性

次に、コミュニケーションにおけるロジカル、つまりロジカルコミュニケーションについてはどうでしょうか。ここにも大きな落とし穴が存在する可能性があります。

ロジカルコミュニケーションでは、しっかりとフレームワークを使って情報を整理し、話の順番を明確にし、結論を述べた後に理由と根拠を複数提示し、最後に再び結論を述べる、といった手法がよく用いられます。(いわゆるPREP法などです。)ロジカルにコミュニケーションを取ることを追求していくと、一見、非常に効率的で明確なように思えます。

私自身、以前はメーカーに勤務しておりました。ものづくりの現場では、いかに正確に製品を作り上げるかという点が重視されるため、どうしてもロジカルに物事を考える傾向が強くなります。しかし、ビジネスにおけるコミュニケーションは、残念ながらロジカルな側面だけでは不十分なのです。

よく言われることですが、「感情を置き去りにして、人は動くのでしょうか?」ということです。会社がチームであり、人間の集まりである以上、ロジカルな指示だけで人が動くというのは、もはや過去の時代の考え方かもしれません。

人のモチベーションを大切にすることは、組織論などでもよく語られます。この「モチベーションが大切」というのは、主にプラスの感情に焦点を当てた話です。しかし、実際のビジネスコミュニケーションでは、ロジカルさを追求するあまり、感情、とりわけマイナスの感情は置き去りにされがちです。「なかなかうまくいかない」「失敗してしまった」といったネガティブな感情とどう向き合い、それを乗り越えていくのか。このプロセスへの配慮が欠けてしまうことがあります。

コミュニケーションには、ロジカルな側面だけでなく、感情という側面も色濃く含まれています。そして、この感情という部分が、実は非常に大きな意味を持っているのです。この点を、本日は特にお伝えしたいと考えました。

まとめ

今回の話をまとめますと、ロジカルシンキングを効果的に行うためには、その前提として自由なアイデア発想が必要です。そして、ロジカルコミュニケーションにおいては、相手の気持ちを慮り、感情を含めたコミュニケーションを心がけることが不可欠です。論理だけではない、心の通ったやり取りの重要性を、改めてご理解いただければ幸いです。