あなたのアドバイス、本当に届いていますか? - 成功の裏に潜む落とし穴
「先生、あの時のアドバイスがなければ、今の我が社はなかったと思います!」
コンサルタントとして、クライアントからこのような感謝の言葉をいただける瞬間、それはまさに仕事の醍醐味であり、大きな喜びを感じる時です。しかし、現実は常に理想通りとは限りません。
「先日の会議で、新規市場開拓戦略を徹底的に議論し、社長も『これはイケる!』と目を輝かせていたのに、その後、何の進捗もない…。なぜだろう?」
「業務効率化のためのシステム導入、導入後の運用フローまで詳細に設計し、完璧な資料を作成したのに、現場からは『使いにくい』という不満の声ばかり…。いったいどこで間違ったのか?」
もしかしたら、あなたのアドバイスは、思わぬ「落とし穴」にハマっているのかもしれません。良かれと思って行ったアドバイスが、クライアントを動けなくしたり、あなた自身を疲弊させてしまうとしたら…。成功事例の裏には、意外な落とし穴が潜んでいることを、私たちは認識しなければなりません。
実は、コンサルタントが陥りがちなアドバイスの落とし穴は、大きく分けて2つあります。
- 落とし穴1:クライアントが「動かない」 - 完璧な提案と行動のギャップ
- 落とし穴2:クライアントが「依存する」 - 信頼が築く危険な関係性
これらの落とし穴に気づかず、これまでと同じようにアドバイスを続けていると、あなたのコンサルタントとしての成長が止まってしまうだけでなく、クライアントとの関係性も悪化してしまう可能性があります。クライアントの成功を真に支援するためには、これらの落とし穴を深く理解し、具体的な解決策を身につけることが不可欠です。
この記事では、具体的な事例を交えながら、これらの落とし穴について詳しく解説し、明日から実践できる解決策をご紹介します。
落とし穴1 - なぜクライアントは動かないのか?事例から学ぶ、行動を促すコミュニケーション術
まず、1つ目の落とし穴「クライアントが動かない」について、具体的な事例を通して掘り下げていきましょう。
事例:
コンサルタントのAさんは、地方の中小企業B社の売上低迷を打開するため、緻密な市場分析と競合調査に基づいた、革新的なマーケティング戦略を立案しました。Aさんは、膨大なデータを駆使し、ターゲット顧客のペルソナ、最適な広告チャネル、具体的なキャンペーン案などを詳細にまとめた、数百ページに及ぶ提案書を作成しました。B社の社長は、Aさんの提案に感銘を受け、「これは素晴らしい!ぜひ実行しよう!」と意気込みましたが、その後、具体的なアクションを起こすことはありませんでした。数か月後、Aさんが進捗を確認すると、B社の社長は「忙しくてなかなか手が回らなくて…」と歯切れの悪い返事をしました。
なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?
論理的に考えていくと!!!
Aさんの提案は、客観的なデータに基づいたもので、論理的にも完璧でした。しかし、B社の社長にとっては、あまりにも複雑で、実行に移すにはハードルが高すぎたと感じたのです。
B社の社長は、長年、自身の経験と勘を頼りに会社を経営してきました。そのため、「外部のコンサルタントから与えられた複雑な戦略を、自分たちの力で実行すること」に不安を感じたのです。
この問題を解決するためには、アドバイスの「伝え方」だけでなく、「伝えられる内容」と「その後の支援」も変える必要があります。
重要なのは、クライアント自身に「気づき」を与え、自発的な行動を促すことです。具体的には、以下の点に注意しましょう。
ビジネス書にはこう整理されていると思います。
- 質問を通して、クライアント自身の言葉で課題や解決策を語ってもらう
- 例:「B社長、現在の市場環境について、どのような課題を感じていますか?」「今回の提案の中で、特に実現可能性が高いと感じる点はどこですか?」
- 選択肢を示し、クライアント自身に最適なものを選んでもらう
- 例:「今回の戦略を実行に移すにあたり、3つのフェーズに分けて考えられます。それぞれのフェーズのメリット・デメリットを説明しますので、B社にとって最適な進め方を選択してください。」
- 成功事例を紹介し、クライアントのモチベーションを高める
- 例:「B社と同様の課題を抱えていたC社は、この戦略を段階的に実行した結果、6ヶ月で売上が30%向上しました。」
- 実行可能な具体的なステップに落とし込む
- 抽象度の高い戦略を実行可能な具体的なアクションプランに落とし込み、クライアントの負担を減らす。
- 実行後のフォローアップ体制を構築する
- 実行フェーズに入った後も定期的なフォローアップを欠かさず、クライアントの進捗状況を把握し、適宜アドバイスを行う。
これらのアプローチによって、クライアントは「やらされている感」を持つことなく、主体的に行動できるようになります。
ところが心理から見ると別の心情が見えてきます。
人から言われたこと だからやりたくない!
「えっ」と思われるかもしれませんが、経営者の多くの方は、潜在意識でこう感じているのです。これを解決するには、「人から言われた」の部分をどうにかしないといけないわけです。
私を含めコンサルの多くは、ビジネスパーソンからキャリアをスタートしています。事務所で働く、会社で働くというのは、言われたことをやるのが仕事 と刷り込まれているのです。ぜひ近くの経営者のかたに聴いてみてください。この文章が刺さる方がとても多いのです。
落とし穴2 - 依存関係からの脱却、そして「聴くプロコンサルタント®」へ - 真のパートナーシップを築く
次に、2つ目の落とし穴「クライアントの依存」について、具体的な事例を通して解説します。
事例:
コンサルタントのDさんは、スタートアップ企業のE社の急成長を、的確なアドバイスで強力にバックアップしました。E社の社長は、Dさんのことを「我が社の成長の立役者」と高く評価し、経営に関するあらゆる相談をDさんに持ちかけるようになりました。Dさんは、E社のことを自分の会社のように考え、昼夜を問わず献身的にサポートしました。しかし、次第に、E社の社長は、自分で考えることを放棄し、Dさんに依存するようになりました。重要な経営判断はもちろん、日常的な業務に関する些細な問題まで、Dさんに判断を仰ぐようになったのです。
このような依存関係は、Dさん自身を疲弊させるだけでなく、E社の成長も阻害します。
この状況から抜け出すためには、クライアントとの間に健全な「パートナーシップ」を築く必要があります。
具体的には、以下の点に注意しましょう と ビジネス書には書いてあると思います。
- クライアント自身が意思決定できるような情報提供に徹する
- 例:「E社長、今回の意思決定に必要な情報はすべて揃いました。最終的なご判断は、E社長にお任せします。」
- 最終的な決定は、クライアント自身に委ねる
- 例:「私のアドバイスは、あくまでも参考情報です。最終的にどの道を選ぶかは、E社長ご自身で決めてください。」
- クライアントの成功体験を共有し、自信を持たせる
- 例:「E社長、今回のプロジェクトの成功は、E社長のリーダーシップと決断力があったからです。」
- クライアント自身が課題解決できるような質問をする
- 例「E社長はこの課題についてどのように考えていますか。」「この課題についてE社長がすでに持っているリソースはありますか。」
- 徐々にクライアントが自走できるように支援する
- 最終的にはコンサルタントがいなくてもクライアントが自走できることを目指して支援する。
これらのアプローチによって、クライアントは自立心を養い、あなたとの関係はより対等で信頼できるものになるでしょう。
コンサルタントの役割は、アドバイスをすることではありません。クライアント自身が課題を解決し、成長していくための「サポート役」です。
ここでも 心理的な側面から考えていくとまた別の側面が現れます。そう言われても抜け出せないのには理由がある
信頼している 〇〇さんの言う通りにしていれば大丈夫
これは、とっても危険。なぜって、依存であり、責任転嫁。私達コンサルは、どんなに頑張ってもクライアントさんの業界経験や、投入する時間、人間関係を上回るとは、できないのです。そして、私達が経営者になることもできないわけです。
ところが、コンサルタント側も、この関係が望ましいと思ってしまうケースがあるので、要注意なのです。
依存してくれれば、安定収入だ!多少の時間はOK
コンサル契約を切られるおそれがなくなる。多少時間を割いても、安定収入が入るから嬉しい・・・ 徐々にエスカレートして・・・夜中にも、休日にも電話が鳴り止まなくなる。これだと他の仕事が一切できない。私はあの会社の経営者じゃないのに・・・
単なる依存ではなくて、共依存という罠に陥ってしまうのです。
「聴くプロコンサルタント®」は、傾聴を通してクライアントの潜在能力を引き出し、自立を促します。
もしあなたが、クライアントが「自ら考え動く」ようになってほしい。依存関係から脱却したいとお考えでしたら、コミュニケーショントレーニングが必要です。ぜひ一度、「聴くプロコンサルタント®」の扉を叩いてみてください。