製造業において、原価管理は企業の収益性を左右する重要な要素です。しかし、原価は複雑で、外部の専門家でも容易には理解できない部分が多く存在します。そのため、現場の状況を熟知した人材が原価計算を担当することが、正確な原価把握とコスト削減につながります。
今回は、私がパナソニックで経験した事例を交えながら、現場主導の原価管理の重要性についてお話します。
パナソニックの事例:現場経験者が担う原価計算
私がパナソニックで原価計算に携わっていた際、担当者の多くが製造現場や生産管理、生産技術の出身者でした。それは、現場でのものづくりの実態を理解していなければ、正確な原価計算ができないからです。
パナソニックでは、材料費と工数管理に特に力を入れていました。現場での作業内容や使用材料に応じて、細かく原価を計算することで、製品ごとの正確なコストを把握していました。
パナソニックの原価管理システムの特徴
パナソニックでは、昭和30年代に高橋泰太郎氏が構築した経営管理システムが、私が在籍していた当時も活用されていました。
このシステムでは、人件費を含む費用を、製造現場系(4クラス)とそれ以外(5クラス)に分けて管理していました。4クラスの費用は、全て製品の原価計算に反映される仕組みになっており、現場で実際に働いた時間に基づいて、各製品に人件費が割り振られていました。
また、「製版稼働率」という独自の指標もありました。これは、販売量が少なくても生産量を増やすことで、会計上の利益を増やすことができる仕組みです。しかし、この指標だけを見ると、実際の収益性が正しく把握できないため、注意が必要でした。
中小企業における原価管理の課題と解決策
パナソニックのような大規模なシステムを中小企業が導入するのは難しいですが、原価管理の基本的な考え方は応用できます。
まずは、製品ごとに標準工数を設定し、実績との差異を分析することから始めましょう。また、経理や税務部門だけでなく、製造現場の担当者も巻き込み、全員で原価意識を高めることが重要です。
現場の知見とデータを組み合わせることで、より正確な原価計算が可能になり、コスト削減や製品開発にも役立ちます。
まとめ
現場主導の原価管理は、製造業の競争力を高めるための重要な要素です。パナソニックの事例を参考に、自社の状況に合わせた原価管理体制を構築し、持続的な成長を目指しましょう。