群青と,そこに咲く花と花と花
この5月は島に縁が深かったようで,末には淡路島にいた.
屋久島でもそうだったが,淡路島の滞在時もとても天気が良く,
島らしいのんびりとした時間を過ごすことができた.
淡路島からの帰路,デッキから眺めると,
フェリーの立てる白い泡がなんともいえず美しく,飽きずに眺めていた.
海面を白く彩った泡たちは,次第に黒い海へと帰ってゆく.
静かにそれを眺めていると,波の花という言葉が頭に浮かんだ.
石川直樹の著作,「すべての装備を知恵に置き換えること」のなかに,
「波の花」という文章がある.
沖縄で友人と飲み交わす場面を記したものだが,
波の花を唄う沖縄民謡の一節が印象的に響く,その短い文章が好きで,
何度も読み返した.
待っている人,待たれている人,
旅立たねばならない人,旅立てない人,
そこここに離別があり,そのひとつひとつが深い感情を伴っている.
感情は花.
様々な色と形があり,それは絶えず移り変わっている.
群青に咲いた白い花は,旅を続ける私に手向けられた万輪の花束だったと思いたい.