環水平アーク
水平の虹を見た。
太陽の向かい側じゃなく、太陽の方向にかかる虹。
前日は雨。
この日も朝はくもりだったが、昼頃から次第に晴れ間が見えてきた。
これはそんなき、ふと空にあらわれたもの。
水平の虹を見たのは二度目。
虹の七色が、リボンかテープのように空に貼り付けられている。
なんだかまぶしい。
光がつくり出す、つかの間の幻術。
きれいきれいきれい。
心の中で何度も繰り返しながら虹を撮る。
薄くなったり濃くなったり、
しばらくしてすーっと消えた。
残るのは青い空。
残るのは白く伸びる雲。
残るのはいつか同じ虹を見た誰かのこと。
残るのは淡い残像。
残らないのはただひたすら見入った時間とこの気持ち。
きれいな虹を見た後は、なぜだか少し悲しい。
