感傷的な甘い匂いに葉が落ちる
10月も終わりだというのに今日の暑さはなんだろう。
小春日和を通りこして、昼間は夏の雰囲気だった。
でも、朝夕はしっかり空気も冷たくて、やっぱり秋だってことを知る。
半袖でユキと散歩に行って、おなかが冷えかけてよく分かった。
でも、秋らしくない秋が深まってきて、りんごがよく目につくようになってきた。
りんごの皮をむくとき、またこの季節が来たかと思う。
みかんの皮をむくときの匂いは冬のイメージが強く、
自分にとっては雪景色が脳裏に浮かんでくるけれど、
りんごは秋の枯れ葉色が浮かんでくる気がする。
そしてこの時期、ぼくは毎年アップルパイを作ることに決めている。
たいていの人は少し驚くみたいだけれど、
パイシートは市販のものを使うし、大して難しいことをするわけではない。
お菓子作りは全然しないけれど、アップルパイだけはどうしても作りたくなる。
今回もいい紅玉が手に入ったので、この週末に作る予定だ。
天気もいいらしいので、やることはたくさんあるけれど、
ゆっくり読書をする時間をとって、ゆったりと取りかかろう。
自分にとって、アップルパイ作りは何か特別な時間かもしれない。
幸せな気分になれる気がする。
そしてきっと、いちばん幸せなのは、オーブンで焼いている時間でも、
焼きあがったパイを食べる時間でもなく(もちろんそれはそれで幸せだけど)
りんごを鍋で煮詰める時間だと思う。
シャキっとしたりんごを薄くスライスして砂糖と一緒に煮詰めていくと、
次第にそれは綺麗に透きとおってきて、飴色になる。
そして、その頃には甘い香りが湯気になって鼻をくすぐっている。
それはあっという間にも感じられるし、とても長い時間にも感じられる。
そしてなんとなく感傷的な気分になってくる。
そんなふうに、日曜日の夕暮れ、ぼくの台所は色んな感情で溢れているだろう。