草のにおい、つむじ風。
- よく晴れた日曜日の夕方に、干していた布団を部屋に取り込む。
- 陽のにおいを吸い込んだそのふうわりとした布団は、熱がこもって少し暑い。
- やさしい匂いに包まれたまま、僕はいつの間にか眠りに落ちている。
- 遅い昼寝から目覚めると、辺りは薄暗くとても静かだ。
- ふと、昼間の出来事を思い出す。
- 幸せのかたまりともいえそうな、ふわふわの布団の中で、
- 干したての布団がこんなに悲しいこともあるんだってことを知る。
- どうしようもない気持ちになって、どうしようもなくて僕はイノトモをかける。
- 静かで、やさしくて、とてもなつかしく感じるその声が、夕方をいっそう夕方らしくする。
- 「消えないもの」が流れて、自分でも驚いたことに、自分が生きているということを実感する。
- いつの間にか涙が出ていて、胸の辺りがジンジンとしていた。
- そうこうしているうちに、夕方は静かに静かに夜へと姿を変える。
- 僕は、久しぶりに味わう自分の感情にすこし驚きながら、
- 一息吐いて、晩御飯の支度にとりかかる。