ほろほろ
沈丁花が咲いている。
僕の部屋で。
少しずつ大きくなっていく鉢植えの沈丁花。
この前、花が咲いているのに気づいて部屋の中に入れた。
僕は金木犀はちょっときついなあと思うけれど、
沈丁花はとても好きだ。
部屋の中に入れてすぐのときは驚いた。
玄関を開けると、家中にその香りが立ち込めていて、
なんだか僕の帰りを待っていたかのようで嬉しかった。
でもそれだけじゃない。
部屋に干してある洗濯物や、押入れの衣類にまで
その匂いがうつっていた。
シャワーを浴びて、まず拭くのは顔だ。
その瞬間、さりげない移り香が鼻をくすぐる。
自然と頬が緩み、僕はなんだかこころが満たされていくような心地がした。
この季節、辺りを歩くとこの香りが漂っていて、
夜中にふらっと路地裏を歩きたくなる。