月影 | 雨のあとのにおい

月影

大学時代、親しくしていた先輩がうちに来た。

会うのはおよそ2年半ぶりだ。

その先輩は郡山に住んでいるので、なかなか会う機会がない。

今回は、休みが取れたから、といってバスや電車を乗り継いで、はるばるやってきた。

前日の朝に出て、昨晩は名古屋のマンガ喫茶で夜を過ごしていたという。

雨のなか、関ヶ原にもいってきたようで、「道に迷っただけで、何も見つけられなかった。」といって笑う。

そして、「おれ、昨日と今日で5万歩くらい歩いてっから。」と言って、万歩計を僕に見せてくれた。

わざわざ万歩計をベルトに付けてきた姿をみて思わず笑ってしまった。

とりあえず近くのスーパーかどうかわからんような小汚いわりに

かなり賑わっている銭湯へ行って汗を流す。

そして、ともかく飲んだ。

出てくるのは、学生の頃の話が多い。

先輩はなぜか、面白い場面に遭遇することが多かったようで、話のネタは尽きない。

「もう時効だろうと思うけど・・・。」と言いながら、数々の事件を面白おかしく話してくれて、

久しぶりに笑い転げてしまった。

僕は学生時代の頃を思い出すのは久しぶりだなあと思いながら、話を聞いたり喋っていた。

なんだか記憶も朧げになっていて、ずいぶんといろんなことが変わってしまったことに気付く。

全然ビールを飲めなかった僕が、今は好んで飲むようになっていることに先輩は驚いていて、

なんだかそういうことがいくつもあった。

変わったもの変わらないもの、それが話しているうちにちらほらと見えてくる。

次の日、とてものどかな日曜の午後の日差しのなか、

二日酔いで「くふぅ~。」とか言いながらぐったりして横になっている先輩を見て僕は、

やっぱりちょっとセンチメンタルだった。


部屋音楽 * 斉藤和義 「月影」