Airplane in the night sky.
ただ飛ぶ鳥に涙が伝う 素晴らしき世界だね
と、中村一義はうたった。
ぼくは夜の散歩のとき、
夜空を行き交う飛行機をいくつも見上げ、
なんか胸がボワーっとしてきて、
ただ飛ぶ飛行機に涙が伝いそうになった。
夕暮れ深い夏の終わり、
ぬるいけれど、ずいぶんと過ごしやすくなった空気をまとってぼくは歩く。
肌を撫でる空気は夏の終わりをはっきりとわからせてくれる。
どこからか流れてくる夕ご飯のにおいは感傷的な気分を誘う。
夕暮れは植物の匂いが強まってくる時間でもある。
そこらに生える草たちはその存在感をいっせいに強め、
ぬるい空気とも相まってぼくの細胞はドロリと溶けていくようだ。
この季節の夜歩きはそういう意味ではとても快楽的だとぼくは思う。
そんな、そんな夕暮れを過ぎた群青の空に、点滅する光を見る。
飛行機だ。
セントレアが動き出して、ここいら辺は飛行機をよく見るようになった。
遠くの空では、あたかもすれ違って挨拶を交し合うように、飛行機が交差している。
ぼくは、再び低く飛ぶ飛行機に目をやる。
点滅する光の中に、窓から漏れでる光が見える。
「あの光のひとつひとつに、人がいるんだな。」
そう思ったとき、その光はあたたかな温度を持っているように思えて、
感傷的になっていたぼくの心を刺激した。
なんだか泣きそうになって、一緒に散歩していた犬を見ると、キョトンとしてぼくを見返している。
ぼくは空笑いして、犬にバカって言って、また歩き出した。