身体が夏休みに入っている | 雨のあとのにおい

身体が夏休みに入っている

ぼくはしばらく振りに、夏休みのない夏を過ごしている。

ぼくの人生に夏休みというものが持ち込まれて以来、初めてのことだ。

いつも暑い盛りの1ヶ月くらいは好きに過ごす時間があって、

退屈と怠惰とばかばかしいくらいまぶしい景色のなかを

なんにもかんがえないでいることができた。

それがどうだろう。

いま、ぼくは毎日仕事に行く。

夏休みじゃないって、わかっているから。

でも、

身体は長年の習慣を簡単には切り替えられないみたいだ。

8月に入った途端、ぼくは阿呆になったように、何も考えられなくなって、

身体は低空飛行、全細胞がブレーキをかけてるみたいに重たくなった。

身体が「怠惰せよ。」って命令する。

夏のきらめきを逃すなよって教えてくれている。

だけど、ぼくはそれに従うわけにもいかず、

重たい身体と、節約中の電気メーターのようにゆっくり回る頭を抱えて、

ため息ひとつついてみる。

「こんなのおかしいじゃないか。」って。

考えれば考えるほど、狂っていることが多すぎるけど、

仕方ない。とりあえずいまは我慢。

そのうち、この美しい夏を全身に浴びて、毎日を過ごすように、

なるからね。