「ヘンゼル。お前は向こうの部屋に行っていなさい。父さんは、母さんと最期のお別れをするから」


父さんが言った。
でも、僕は『最後のお別れって、母さんにおやすみなさいって言うのかなぁ?だったら、僕もおやすみって言わなきゃ‼』と思って、ただ首を横に振って立っていた。



僕は小さい頃から挨拶に関してはとても厳しく躾られていた。


『挨拶は生きている中で最も大切なもの。挨拶がきちんと出来ない人は、何をやっても成功しない』


というのが母さんと父さんのモットーだった。
そのせいか、僕は幼いのに普通の大人と同じくらい礼儀正しかったらしい。
だから、母さんにも『おやすみ』を……恐らく条件反射で……言おうと思った。


そうしたら、頑なに首を振り続けていた僕に向かって、父さんが怒鳴った。


「ヘンゼル‼お前は邪魔なんだ‼さっさと行け‼」



あんなに恐い父さんは初めて見たし、これからも見ることはないだろう。
それ程恐かった。
当然、幼き僕は泣いてしまった。


いつもは優しい父さんが怒鳴った。
僕のことを邪魔だって言った。
真っ赤な顔して、まるで鬼のようになってしまった。
何故?
僕、何にもしてないのに。
何故?
父さんは僕が嫌いなの?
僕、居てはいけないの?
どうして怒るの?
どうして?
どうして?
ドウシテ?
ドウシテ?
ドウシテ……?













「……ゲルトルート。悪いが、ヘンゼルを連れて隣の部屋にでも行っててくれないか」

「ええ、分かったわ、ペーター。でも、その前にリューディアさんの手を握らせて。あなたの『前妻』、そして私の先輩になる人なのだから、最期に挨拶ぐらいしておいた方が良いと思うの」

「ああ。好きにしてくれ」




泣いていた僕は、意外にも冷静な部分があった。
幼い子に冷静も何も無いような気もするが、今考えてみれば、僕はその頃から変に大人びていたのだろう。


何故か、父さんと部屋の端に居た女性の会話を鮮明に憶えている。















* * *


久しぶりの更新ですσ(^_^;)
すみませんm(_ _)m



ところで、本日は9月11日です。

9月11日と言えば、アメリカ同時多発テロ……『9.11』ですよね。
先程、日本時間10時03分で丁度10年目なのだそうです。

そして、東日本大震災から半年……。


どちらも死者が多くなってしまいました。


力にはならないでしょうが、亡くなられた方の冥福を心よりお祈りします。




なんか心葉のキャラと違いますが……
今の本当の気持ちです。
なんかいきなりこんなことを考えちゃったんです。

ごめんなさい。