傷つけたこと、傷つけられたこと、裏切ったこと、裏切られたことをずっと根に持ち、現在の生活までも、ままならなくなり心の病気になる人がいます。
記憶力が良すぎるのは、感心してしまうところですが、その記憶が自分の都合の良いようにどんどんねじ曲げられ、時間が経つにつれて、ほとんど原型が残っていないなんてこともあります。
生きていく中で、人は傷つけ合い、だまし、裏切りもしますが、労り合い、愛し合いながら生きています。
また誰かに傷つけられたこと言ったとしても、自分も別の何処かで誰かを傷つけているのです。
一方的ということはあり得ません。
人を変えることはとても難しいことですし、過去に戻ってやり直すことも、自分に注意することも叶わないのです。
ですから、悩むこと自体もはっきり言って無意味ですが、人間ですから気にしないように努力しても気にしてしまうものです。
しかし、今自分がやるべき現実に目を向け、集中し、力を入れれば自然と忘れていくものです。
心の病気になってしまう人は忘れることを拒むのです。その方が楽だからです。そのことしか考えなくてよいから楽なのです。いつもそのせいにすれば良いから忘れることを拒否するのです。
またそれを覚えてない相手を恨み続けるのです。
人間の記憶には数種類あって、過去の自分の体験した記憶をエピソード記憶といいます。
エピソード記憶は脳の海馬という部位に書き込まれると言われ、強い感情を受けたエピソードは、より強く鮮明に書き込まれる傾向があります。
そして、毎日のように何度も何度も繰り返し思い出すことによって物語化され、より強く記憶されます。
過去の記憶を忘却し忘れた人は、その悲劇の物語の主人公になりきり、酔っているのです。悲しい物語の住人で有る限り、チャンスが到来しても気がつきませんし、友達やカウンセラーの言葉も耳には届かず、いつまで経っても、幸せになれないのです。
人間は現実の中で生きていくしかないのです。そのために脳は忘却する機能が備わっているのです。
人間は忘れることによって前向きに生きられるのです。
忘れることは前向きに生きるための力なのですから、その力を借りて現実に身を置き、今を生きるしかないのです。