今日も皮膚炎の診察が多かったです。

というより僕は皮膚科にでもなった気分でした。

うちのホームページに抗生剤の適正利用について書いてあるので

抗生剤嫌いとかアンチ抗生剤というふうな認識をもたれてしまうことがありますが

普通に必要なら使います。

全然使わないとかじゃありません。

それを前提として書いてみます。

細菌性皮膚感染症はアトピーとかアレルギー性皮膚炎で（便宜的に両方ともアトピーとします）

よく併発する皮膚病です。

アポキルはアトピーの痒みや皮膚炎に対する有効な治療法です。

痒み止めという認識が強いですが

免疫調整作用を持つので感染症の感受性を高める可能性も示唆されていますが

アポキルの使用で細菌性皮膚炎の頻度を増加させるというエビデンスもありません。

したがって、何でもかんでもアポキルと抗生剤という処方の仕方も間違っています。

アポキルで治療したアトピーの犬に対する抗生剤の使用を減らす目的とした研究報告があります。

要約しまくるとアポキルを上手く使うと

飼い主さんの満足度スコアが有意に上昇し

内服でも外用でも抗生剤の利用を顕著に減らすことができますよというものです。

まあそもそもアトピーが原因の細菌性皮膚炎なら

アトピーで痒い→掻いてバリア機能の破壊→細菌が侵入しやすくなる→さらに痒くなる

的なことは誰が考えても思いつきそうです。

なのでアポキルを使わないというパターンがあまり考えられないのですが

確かに結構ありがちだと思います。

痒みに着目していてもステロイドを使用し続けていて

ステロイドで免疫抑制をかけていて抗生剤から抜けきれない子もよくみます。

犬でアトピー由来の痒みがあるなら導入にはアポキルが一番使いやすいイメージがあるのは

（上記の報告があたりめすぎると思ってしまうのは）

僕がアポキル世代の獣医だからかもしれません。

まあこれも要約しまくると

アポキル使うと抗生剤の使用が減っていいぜというお話です。

免疫調整作用で感染症感受性が高くなるというお話とは真逆の結果ですね。

アトピーを背景とした二次的な細菌感染症を持つ子では

痒み止め、抗菌薬、スキンケア、食事でのケアなど

様々な治療の選択肢があります。

大事なのは「抗生剤を使わないこと」ではなく

その子が一番満足度の高い治療を提案できることだと思います。

今日も皮膚炎の子10頭以上はみましたが

一人として同じ処方の子はいませんでした。

正確なたくさんの情報を武器に

最適案を提案できるのかが

僕にとって夏を乗り切るキーワードですね。

では。

ワンちゃんの皮膚炎にアポキルなおはなし