劇屋いっぷく堂公演「卒業式っていつですか?」を先月末に観劇。
今回、特に脚本の優れていることに感服。
桜が持つ狂気をはらんだ季節を幻想的に描くと
同時に現代日本が抱える問題を無理なく提示していた。
卒業式というからには舞台は学校ということは想像がついたが、
それが定時制の高校であり、生徒の抱える問題もそれぞれに違い、
込み入ったストーリーに途中で混乱させられた。
しかし、すれ違いと言葉を楽しませる丁寧な演出と、出演者が誠意を持って能力を発揮することによって、大笑いしながら、しんみりとしたラストまで導かれた。
教師さえも、最後に重大な告白をすることで、生きている者は亡くなった者の全てを、いや、いくらかを背負って少しずつ力を得ながら、生きていくしかないと思った。
最近、特に世界が誰かが仕組んだようにきなくさい。
そんな中でも演劇などをいつまでも楽しめる日本と世界でありますように、私も微力を尽くしたいと心から思う。
当日の受付でこの劇のDVDを予約した時にいただいた付属の桜のオーナメントを眺めるたびに思う。
これが爆撃で焦げる日の来ないことを。
いつまでも透明なままで持っていられるように。
戦争をなくすために言葉の力を使おうと思う。