新聞だったかな?
なにかで見かけて、気になって買いました。



読み終えて。
この手の本は賛否両論あると思います。
眼球がなく、鼻も形成されていない状態で生まれたベビー。
ショックを受けながらも、悪戦苦闘してやっと6年して、周りの人に話せるようになってきた母親が、
その年月を本にしたものです。
本の中で何度も、ベビーが可愛いし、いとおしい、
けれども、健常であればどんなに良かったかとつい思ってしまう。
いや、でも、この子はこの子なりに良いところがあって、という、罪悪感を持ってしまい、揺れ動く心。
他の人と比べまいと思っても、近くに両親がいたら、ここが日本なら、
と思ってしまうこと。
本当に何度も出てきて、文章としては繰り返されるのがあまりに読みにくいのですが、
逆に私は、文章を書くのが本業でない、生身の人間の独白、という感じがして、
真剣な気持ちが感じられました。

また、途中で、そのベビーの後に、かなり近い年の妹や弟を授かって4人育てていて、
どんなに大変か書いてありますが、
ここも、人によっては、兄弟をつくってあげたかったと理由を書いてるけど、
どんなに大変か、というぐらいなら、もう少し年を離して授かるよう避妊すればよかったじゃないか!
という、意見も出てきそうだな、と思いましたが、
もともとこの方は、キャビンアテンダントをしていて、
それも、PRポスターに選ばれるほどもてはやされた方で、
アメリカで会社を立ち上げているような人。
ご主人はアメリカで仕事をしている日本人。
本の中では、とにかく、仕事も家事も必死にこなしながらの4人出産だったと書かれています。
忙しいならなおさら、計画的にしろよ、というのは、
至極全うな意見のように見えて、
多分、とても、怖い意見です。
本の中で、ベビーは0才の時から、眼球の代わりになるものを入れ、瞼を縫う手術をしては引きちぎれる、という、悲しいことの繰り返しで、
それを繰り返す場面では、私は腹が立ちさえしました。
縫う以外に、テープや目をおおうパッドのようなものは使えなかったのか、
と。
小さい子供の薄い皮膚なのだから、引きちぎれることぐらい想像つくのに、それを何度も何度も繰り返すなんて、と。
でも、そんなことを子供に強いなければいけない母親の辛さを思うと、
精神的にも筆者はいつも、ギリギリのところにいたのではないかと
想像してしまいます。
それを支えるご主人が、奥さまを暖かく包む手段の先にべびーを授かっているのかもしれない、と考えると、
それについて避妊がどうとか
コントロールをしてこそ当たり前、という理論的な考えは、なんだか、
暖かさがないような…。

話がそれてしまいそうなので、本に戻すと、
子供が、どうしていいかわからないような出来事に遭ったとき、
どう選択するにもきっとメリット、デメリットがあって
悩み続けなければいけないのだろうけれど、
それを今も現在進行形で最大限に悩んでいる姿を見せてくれています。

もし、子育てに悩んだら、
他の人だって常に悩みながら進んでるんだ。
それしかないんだ。
それしかないんだ。
そんな風に思わせてくれる本です。

ただ、読むのに、労力を使います。
とても辛いことが多いので、目を背けたくなる人も居るとは思います。