週刊ダイヤモンドの ドラッカー著書の抜粋記事があったので掲載する。

 

改めて読むと、懐かしいと言うよりも、こんなことが書かれてあったのかと今更ながら驚く。

 

このドラッカーの思考がコロナ後の社会に、AIの社会に通じるかどうかの問題はあるものの、姿・形は変われど、根底にある心や精神は不変と思う。

 

以下、本文。

「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)


 ドラッカー[01]
上司が持つべき唯一の資質は真摯であること    
『現代の経営』より

https://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/030405.html

 「成功している組織には、あえて人を助けようとせず、人付き合いもよくない上司が必ずいる。

愛想が悪くいつも不愉快そうでありながら、だれよりも多くの人たちを教育し育成する人、最も好かれている人よりも尊敬を得ている人がいる。部下と自らに厳しくプロの能力を要求する人がいる」(『現代の経営』)


 そのような人は、高い目標を掲げ、その実現を求める。誰がどう思うかなど気にしない。何が正しいかを考える。頭のよさより真摯さを重視する。

 ドラッカーは、この真摯さなる資質に欠ける者は、いかに有能で人付き合いがよくとも、組織にとって危険な存在であり、上司として、紳士として不適格であるという。真摯さに欠ける者が跋扈するとき、組織は死への道をたどる。

 リーダー的資質など存在しないと断言するドラッカーが、リーダーが持つべき唯一の資質として挙げるものも、この真摯さという資質である。

 人は人の不完全なることを許す。ほとんどの欠陥を許す。しかし一つの欠陥だけは許さない。それが真摯さの欠如である。

 ドラッカーは「自分の子をその人の下につける気になれますか」と聞く。

 「学ぶことのできない資質、習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。

他から得ることができず、どうしても自ら身につけていなければならない資質がある。才能ではなく真摯さである」(『現代の経営』)

ドラッカー [02]
多様な専門外の知識を有する者が教養ある者    

『ポスト資本主義社会』より
https://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/030412.html

「専門知識を一般知識へと統合できない教養課程や一般教養は、教養ではない。

教養としての第一の責務、すなわち相互理解をもたらすこと、文明が存在しうるための条件たる対話の世界を造り出すことに失敗しているからである」(『ポスト資本主義社会』)

 知識は、高度化するほど専門化する。

しかも他の専門知識と結合するとき爆発する。

したがって、多様な専門知識への理解が不可欠である。ドラッカーは、そのような自分の専門外の知識を持つ者を、知識社会における教養ある者とする。

 専門知識のすべてに精通する必要はない。しかし、それらのものが何についてのものか、何をしようとするものか、中心的な関心事は何か、中心的な理論、問題、課題が何かは知らなければならない。

 もちろん、専門知識が一般知識となるには、それぞれの知識の所有者たる専門家たちが、それらの知識を理解しやすいものにしておかなければならない。

 アインシュタインは相対性理論よりも、『物理学はいかに創られたか』を書くのにより多くの時間を使ったという。

中学一年生だった小柴昌俊さんに「物理というのは、おもしろいことをやるもんだ」と思わせたのが、この本だ。

 「すべての専門知識が真理にいたる。しかし、専門知識を真理すなわち一般知識への行路とすることは、専門知識を有する人たちの責任である。彼らは知識を預かっている」(『ポスト資本主義社会』)


ドラッカー [03]
みずからの強みを知り機会をつかむ    
『明日を支配するもの』より

https://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/030419.html

 「誰もが自らの強みについてはよくわかっていると思う。たいていは間違っている。

わかっているのはせいぜい弱みである」(『明日を支配するもの』)

 職業を選べる時代になったということは、ところを得るために自らの強みを知ることが不可欠になったということだ。

ドラッカーは自らの強みを知る方法はあるという。それは、フィードバック分析だ。

 何かすることを決めたら、何を期待するかを書き留める。九ヶ月後、一年後にその期待と結果を照合する。ドラッカー自身がこれを五〇年間続けているという。

 いかなる仕事の仕方を得意とするかも重要だという。ところが、多くの人たちが仕事にはいろいろな仕方があることを知らない。そのため得意でない仕方で仕事をしている。当然成果はあがらないという結果に陥る。

 生まれつきか育ちかはわからないが、仕事上の個性は仕事に就くはるか以前に形成される。

修正はできても変更はできない。そして、ちょうど強みを発揮できる仕事で成果をあげるように、人は得意な仕方で仕事の成果をあげる。

 「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。みずからの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にする。

なぜならば、自らの得るべきところを知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行うようになるからである」(『明日を支配するもの』)

           つづく
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日経
ピーター・ドラッガー履歴書 目次
2021-12-10 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12714765529.html