(前回記事)

心の履歴(184) 

高知へは初鰹出張
2023-05-03

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12801197883.html

 

(今回記事)
2009/09/28 著

1982年(昭和57年)当時のFF営業部の年間売上額は200億円強。販売構成比は全国大小各地の販売会社への卸が90%であった。

そしてこの年、本社FF本部は組織変更。これまでタケちゃんマンが仕切っていた缶飲料直販本部組織は消滅し、新規顧客層開発を目的とした。

部長は変わらずの森広部長(私が東京支店時代の支店長。早撃ちマック)、新任大前課長(仮称)、そして同じく新任係長の私。
尚、FF部の卸販売は従来通り東京本部山村部長が取り仕切る。

タケちゃんマン課長は、新たに小売店繁栄をコンセプトとした商店開発部を立ち上げ、その部長に就任した。

1982年春、私に本社FF本部への転勤辞令が出たものゝ、引き継ぐ後任者が転勤拒否。

私は広島にいて広島の仕事をしながら、他方、本部の開発の仕事も兼ねました。

新規顧客開発対象は、アイスクリーム業界。

サンヨーが開発したアイスクリーム自販機の量販なのです。
何しろ、我社は当時この業界に全く顔が無かったのです。

そこで部下を二名もらいました。
この二名はBB部署からの転属です。
先ずは川中の問屋開発から。
近畿の問屋名簿を基にローラー調査。

部下には、近畿の問屋600軒を片端から訪問させました。
訪問顛末はFAXで広島へ。
それを見て、次に指示をFAX、又は電話で。

やらしてみたものの、期待する顛末は上ってこない。
やはり新卒で入社以来、レールの敷かれたBB課に五年も在籍すると、単なるお出入り営業マン化している。

ようやく新たに私の後任が決まり、私が広島を離れたのは年も押し迫った頃。

処が本社に正式着任して間も無くの翌春、部下二名を元のBB部が返せと言う。

この頃は人手不足。
代わりに春の新卒二名を配属してもらうことにしました。

この春の新人は127名。内訳は、四大卒72名、短大卒が11名、高・専門卒44名。内、女子が20名と記憶。

オリエンテーションが終わり、配属されてきたのは今中君(仮称)と川上君(仮称)。
どうやら今中君は遊びこけてきた大学生活。
川上君はクソ真面目な大学生活。

 

大前課長が新人の教育は私に任せるというので、さてさて、この二人をどう育てようか?

この二人には、ほぼ一ヶ月間、小会議室に缶詰にして毎日朝から講義です。
「ランチェスター戦略」と「孫子の兵法」をしっかりと頭に叩き込ませました。

「水無瀬はいつまでそんなくだらんことをしているのか!」
「営業とは、頭でなく、身体で覚えるもの!」

周囲からはブゥブゥの非難が巻き起こっていましたが、構わず続行。大前課長が雑音防止をしてくれました。

 

営業とは皆さん辛いことと思っている。

持論は、営業とはゲームである。

営業を勝ち負けの勝負の世界にしたら辛くても楽しい。
戦略立て、戦略を実践してこそ喜怒哀楽の世界である。

さて、いよいよ可愛い新卒二人に現場を踏ませる日。
先ずは、ラフな今中君を車の助手席に乗せ、嵐山方面へ。

車は、京都・四条通りの西の突き当たりの松尾大社前。
ここから数キロ北上しますと嵐山の渡月橋。

この物集女(もずめ)街道はバス一台がぎりぎり通れる道幅。それに各町家のひさしが道路ぎりぎりまで迫っています。

※この時から40年後のここ物集女街道沿いの町家の多くは建て替えられ、各家は道路から若干引っ込んでいます。

ここで今中君に出した指示。
①販売商品は、C食品のロゴ・マークの入った缶自販機。
②商店であろうと住宅であろうと構わず、道路沿いを軒並み訪問せよ。
③一軒の訪問滞在時間Maxで20秒。
④連続して50軒訪問。

一旦、休憩してから再度50軒訪問する。


尚、私は車の中から君がちゃんと訪問しているかを見張っている。

「行け!」

彼の顔は、訪問件数を重ねる毎に赤くなっていきました。
10軒目ぐらいからピンクどころではありません。

真っ赤っか!
怒り狂った顔!

この街道沿いでは、何れにしても新たな機器の置き場所は全く無い。もしも買う人がいたら、その人は気が狂っている。

50軒の訪問を終え、一旦車の中で休憩。
彼、当然、物一つ言わない。

私を横目でチラリと見る眼差しは鬼の目。


https://nara-jisya.info/%E5%8D%97%E5%A4%A7%E9%96%80/
 

山門の仁王どころではない。
目が吊り上がっている。

彼が沿道の住民に言われ続けた言葉。
「あんさんはアホか!」

再度、50軒に挑戦させました。
途中、顔色がちょっと青に変わりました。
それを見逃さずに今中君の訪販は打ち切りしました。

 

次は川上君。

今中君と同様でしたが早めに切り上げました。

その日のアフターファイブ。
彼等二人を晩飯に誘いました。
安くて量が多い店をご所望なので近所の王将へ。

彼らは相変わらず物一つ言いません。
眼も合わせません。
黙々と大口で食べるのみ。
たらふく食べさせました。
安月給なのに自腹です。

私は、彼らを見てはクスクス。

また見てはクスクス。
あの時の血相を変えた表情を思い浮かべると可笑しくって!

間も無く新卒の女子達が我等FF部の席に集まるようになりました。我が部署は始業前やお昼休みは、総務や経理部署の新卒女子たちの喜悦の声があがる何と賑やかなコーナーでした。

この二人、いつの間にか、新卒の本社勤務30名のリーダーでした。無論、推されて同期会のリーダーとなりました。

 

心の履歴(186) 

2年生に任せた新人教育
2023-05-05

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12801439685.html

 

心の履歴30代②主任編:目次
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12751545910.html