1995年(平成7年)1月17日5時46分52秒
死者6,434名を出した阪神淡路大震災。

神戸からは離れているが、ここ水無瀬もこの地震に襲われた。
断層が、神戸から京都・嵐山へ伸びており、その断層線上に水無瀬があるからだ。

更に水無瀬の先には京都伏見区。ここでは、古い木造アパートが全壊したがあまり知られていない。

地震の一年前弱から、京都府北部で、震度1~2の地震が連発。

 


何と、地震の無い関西でどうなっているのだ?

と、妻と話し合っていたもの。


ところが、夏になるとピタリ!!と止む。
それから半年後、当に、不意打ちの大地震であった。

あの日の記憶は鮮明によみがえる。今でも。

    ☆    ☆    ☆

私は、妻に身体を揺すられた。

覚醒。
ゴ~~~~と言う音。

直近に迫る。
襲って来る。
一瞬、昔、埼玉・和光市での津波が襲ってくるような轟音の直下型地震が閃く。

反射的に立ち上がる。
迫る轟音が直ぐそこに迫ったとたん、もんどりひっくり返った。
ただ事でなない!と本能的に直感。

 

リビングに出るも、天井の四方八方隅々から「バチバチ」

台所から「ガチャガチャ」
けたたましい!!。

鼓膜が破れそうだ。
コロの付いたテレビは、リビングを右往左往。

直ぐに隣の息子の部屋。

ベッドの息子は無事か!

四間向こうの娘の部屋に急ぐ。
転ぶ!!立ったら又転ぶ。

壁に手を付けていても転ぶ。
僅か四間で四回転倒!

娘よ!!大丈夫か??
辛うじて娘の部屋にたどり着く。
本棚が娘に覆いかぶさっている。
娘の名前を呼ぶ!!

倒れた本棚の下から娘の声!!

生きている!!
ベットの端がつっかえ棒の役割をしていたのだ!

無傷!!

 

(画像)写真で学ぶ阪神・淡路大震災
http://17jan1995.jp/jp/photo/index.html

 

リビングに戻ると、そこはゴミ捨て場と化している。
余震は続く。

自分の布団を見て驚く。
布団の上には、タンスの飾り棚。
こいつが重たい。
転勤族に桐タンスはバラバラになるとの話で、材質は桜。
二十キロはある。
もしも、直ぐに起き上がらなかったら?

ドスン!で骨折!だった!

灯りは??
長いろうそくを仏壇の引き出しで探し当てる。

急遽、ステンレスのボールを燭台に代用。

 

ラジオはないか??
カセットに付いているラジオ。
電池が無い!
単一が六個要る。
あと一個足りない!!
アッ、そうだ!!瞬間湯沸かし器に一個あるはず。

一本のろうそくの灯火に、家族四人が身を潜める。
ラジオに耳をそば立てる。

時間が経過する毎に、被害は大きく報道されて行く。

顔、歯磨き、トイレ、水だ!!
風呂に水があるぞ!

 

バスルームに走る。

だが、風呂の水はほとんど空だ。
揺れて、ザブン、ザブンと何度も揺れて、水が飛び出したのだ。

助かった事がある。
札幌時代、買い換えたソファ。

これが、札幌のマンションのサイズではピッタリなのだが
ここでは大きすぎる。


この大きくて重たく邪魔で端に寄せていたソファが、リビングの棚の倒れを防いでくれていた。

寝る前に端に寄せた電気こたつが、リビングの飾り棚の扉の開放を防ぎ、中のガラス物や瀬戸物は割れなかった。

  ☆    ☆    ☆

ここの住民の半数以上の家庭で、テレビと食器棚が倒れた。

冷蔵庫も倒れた所も多い。
鉄製のドアが開かなくなった家もある。

私の家の場合、何の対策もしていなかったが、それぞれの家具が、それぞれの役割を演じてくれていた。

「不幸中の、さいわい」とでも言うべきであろうか。

 

  ☆    ☆    ☆

 

阪急電車は7時過ぎまでは、走っていたように見えたが、以後、偶に走るだけ。

 

出勤しなければ。

まともに動くまで待とう。

 

だが、8時を回ってから全く走らなくなった。

会社の守衛には、辛うじて電話が通じる8時過ぎには出勤が遅れると連絡はしている。

 

9時を過ぎても電車は走らない。

これでは埒が明かない。

電話は通じないからタクシーは呼べない。

 

かばんを抱えて国道175号線に立った。

ヒッチハイクである。

 

幸い、トラックが停まってくれてそれに飛び乗った。

途中、運転手は国道沿いの作業着屋で買い物をしたものゝ、無事、会社に横づけしてくれた。無論、運ちゃんには、タクシー代プラスアルファのお礼をした。

 

出勤すると、営業本部のワンフロアの60名弱の社員の大半は出社していた。

 

京都市内や京都府下は大きく揺れたにしても家財の倒れるまでにはいかなかったようだ。

 

(これまでの記事)

神戸淡路大震災(1)阪神淡路大震災で隠蔽された犯罪
2020-01-14 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12566893575.html

神戸淡路大震災(2)阪神淡路大震災で見せた危機管理
2020-01-15

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12567176141.html

 

※今回の記事は、2007/01/16に書いたものです。

『神戸淡路大震災の水無瀬での記憶』