ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ 辻村深月
2009年9月14日発行
事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。
母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。
どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。
地元を飛び出した娘と、残った娘。
幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。
あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。
みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。
彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。
母親を殺して行方不明となった幼馴染を探すため、関係者に話を聞いていくという形式で話は進みます。
途中、主人公と幼馴染の子供の頃の話などをはさみつつ徐々に事件の根源にあるものに近づいていきます。
辻村先生が29歳の時に執筆した作品だそうです。
同じような年代の女性たちの揺れ動く心情がとても鮮明に描かれています。
30歳というラインは女性には重い意味があったりします。
恋愛、結婚、出産。
周りからのプレッシャーや社会的な体裁など。
様々な重圧がある年代でもあります。
そんな中で、母と娘に起こった事件。
タイトルのゼロ、ハチ、ゼロ、ナナの意味がわかった時、この悲劇の事件のすべてが解き明かされます。