向日葵の咲かない夏 道尾秀介
2008年8月1日発行
夏休みを迎える終業式の日。
先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。
きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。
だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。
「僕は殺されたんだ」と訴えながら。
僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。
あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
道尾秀介作品を読むならコレ、と紹介されているのをよく目にする作品です。
主人公が小学校4年生と、同じ年の子どもを持つ親から見たら初めから異様。
大人びた口調もそうですが、仄暗い感じが不気味さを感じます。
同級生が自殺している現場を見てしまうことから話は始まります。
その描写も鮮明に想像できるようで背中が寒くなる。
グロ描写が苦手な人はもうここでリタイア必須。
そして、さらにこの死体ですが、学校に知らせに行っている間に消えてしまいます。
そして死んだ少年は蜘蛛に生まれ変わり……。
主人公のミチオと妹は蜘蛛に生まれ変わったS君と真相を探っていく。
当初から犯人が明かされているのですが、読み進めるとその犯人が変わります。
すべてが暗い。
けど、妙に癖になる感覚で読み進めてしまいます。
ラストに明かされる真実もさらに……。
トラウマ覚悟の鬱小説という前評判どおりの作品でした。