光媒の花 道尾秀介

 

認知症の母と暮らす男の、遠い夏の秘密。

幼い兄妹が、小さな手で犯した罪。

心の奥に押し込めた、哀しみに満ちた風景を暖かな光が包み込んでいく。

儚く美しい全6章の連作群像劇。

第23回山本周五郎賞受賞作。

 

 
短編集のはずなのに、何故か長編小説を読んでいるかのような錯覚に囚われます。
 
認知症の母親と二人暮らす男。
ホームレスを殺してしまった幼い兄弟。
好きな女の子のために少年がついた嘘。
耳の聞こえない女の子の心の中に押し殺した思い。
入院した姉を見舞うドライバーが母親との間に長年持ち続けた誤解。
女性教師と孤独な少女。
 
すべての話が一つになって物語を作っていくような感覚のある一冊です。

 

読み進めるにつれて、徐々に他の話を理解していくような感覚があります。

比較的時間もかからず、すぐ読み切ってしまいました。

これは時間をおいて、再読してみようと思う一冊でした。