加齢なる一族、團菊祭五月大歌舞伎に行く〜
の続きです…
二、四千両小判梅葉
江戸城を囲む外堀。
夜も更けた四谷見附の堀端で、おでん屋台の商いをしている富蔵(尾上松緑)は、偶然通りかかった藤岡藤十郎(中村梅玉)と再会します。
藤十郎は富蔵が以前勤めていた屋敷の恩義ある若旦那。富蔵は、どうせ悪事を働くなら大きな仕事をと、江戸城の御金蔵破りを持ちかけます。
後日、首尾よく御金蔵から4000両を盗み出した富蔵と藤十郎。事件のほとぼりが冷めるのを待った富蔵でしたが、生き別れた母に会うために向かった先の加賀で捕らえられてしまいます・・・・。
夜も更けた四谷見附のおでん屋で、富蔵演じる松緑さんから伝わってくる肝の据わった悪そうな雰囲気・・・。
そして、舞台が暗くて不気味なんですよね。この特別ポスター、GOOD!
また、梅玉さんが演じる藤十郎は、恋敵からお金を奪うなんて物騒なことを言いますが、お屋敷の若旦那らしい品や頼りなさが伝わり、この二人の組み合わせは、良いな~と思いました。
見どころは、何といっても伝馬町の大牢の場面です。牢には、ぎっしり囚人が入っています。
江戸時代の牢屋とは、こんな感じなの?牢名主が居て、序列があって、決まり事がたくさんあって、とても面白いんですよ。
牢名主は、歌六さん休演で彌十郎さんが代役。
囚人の座る畳の枚数(高さ)で、階級が一目瞭然!日曜日の笑点みたい・・・。
富蔵は、きっちり二番役を勝ち取っていて、それも富蔵らしくてね。
市中引き回しののち、磔の刑と決まった富蔵と藤十郎は、囚人たちがお題目を唱えてくれる中、刑場に向かいます。
このラスト、カッコイイです。
実際に江戸城の御金蔵から四千両が盗まれた事件を歌舞伎にしたそうですが、
さすが河竹黙阿弥。
初役の松緑さん、とても良かったけど、菊五郎さんの富蔵は、もう観られないのでしょうね・・・。
歌舞伎座の帰り道、四谷をいつも通るのです。
夜の9時ごろの四谷は、車もそう多くなく、案外暗いんです。
この辺りに、富蔵は、おでん屋を出していたのかしら?なんて思って、車を走らせました。