加齢なる一族、團菊祭五月大歌舞伎 夜の部に行きました♫
一、宮島のだんまり
海辺の厳島神社。
傾城浮舟太夫(中村雀右衛門)が、いわくあり気な巻物を読みふけるところへ、巻物を奪おうと近づく源氏の智将・畠山庄司重(中村又五郎)と大江広元(尾上右近)。
さらに浮舟を捕えようと次々と人々が。ついには平家一門を率いる平相国清盛(中村歌六)も現れ…。
暗闇のなかで、無言で互いの様子を探り合う「だんまり」は、歌舞伎独特の演出の一つ。
厳島神社で、巻物を奪い合う姿を、絵巻のように観て楽しむ作品。
傾城姿の浮舟太夫が、盗賊だったという意外性と傾城六方は、見どころでした。
二、達陀
鎌倉時代。奈良・東大寺の二月堂では、修二会の法会が行われています。
法会を取り仕切る僧の集慶(尾上松緑)が東大寺に所縁ある故人たちの名を記した過去帳を読み上げるところ、どこからか青衣の女人(中村梅枝)が現れます。
実はこの女は、集慶のかつての恋人。女人が、集慶への思慕の念を伝えると、集慶も、彼女と過ごした美しく、甘く切ない日々を思い出しますが…。
「お水取り」で知られる東大寺二月堂の修二会の行を題材に、二世尾上松緑が創作し、昭和42(1967)年に初演された舞踊劇。
梅枝さんの青衣の女人が美しく、左近くんの若き集慶と踊る場面は、幻想的。
そして、練行衆の群舞は、宝塚の男役の群舞みたいで、フォーメーションを巧みに変えながら、力強さ、素早い動きに驚かされました。
最後、集慶が練行衆を引き連れ、足を踏み鳴らし、そのリズムに酔いしれます。
ダイナミックな群舞は、今まで観てきた歌舞伎の舞踊とは異なり、圧巻でした。
観終わっても、頭の中では、足音のリズムが鳴り続けます。
三、梅雨小袖昔八丈
江戸の小悪党、髪結新三(尾上菊之助)。
材木問屋の白子屋の一人娘のお熊(中村児太郎)と手代の忠七(中村萬太郎)が恋仲であることを知ると、忠七を騙してお熊を誘拐し、身代金をせしめようと企みます。
俠客の弥太五郎源七(坂東彦三郎)は白子屋からの依頼でお熊を取り戻そうとしますが、新三になじられ追い返されてしまう始末。
次にやってきた家主の長兵衛(河原崎権十郎)は、老猾な掛け合いで新三をやり込めますが…。
新三と言えば、私の中では菊五郎さん。菊五郎さんの世話物は、間違いなし!
以前観た時に、菊之助さんの勝奴が良かったので、国立劇場で菊之助さんが新三を演じるというので観に行ったのが5年前。
さてさて、菊之助さん、2度目の新三は?と、とても楽しみにしていた私。
菊之助さんの新三、様子を伺う姿が、まあ!素敵!!その鋭い目つき、悪そうでGOOD!!
そして、菊之助さんの新三の台詞を聞いていると、菊五郎さんの台詞の抑揚が、思い出されます。
菊五郎さんの凄みとお茶らけた緩急の台詞は、観てる人私たちを江戸時代へと連れていってくれます。
でも、菊之助新三は、全体で観ると、少し、大人しい感じ。
もっと小悪党で、ずる賢い感じを足してね。
そういう意味では、三津五郎さんの新三は、ゾッとするほど怖かった!!
今回の團菊祭で、團十郎さん、松緑さん、菊之助さんの時代になったんだと実感しました。
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