加齢なる一族、渋谷にコクーン歌舞伎「切られの与三」を観に行きました〜♪
 

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「切られの与三」
 
 
江戸の大店の息子与三郎(中村七之助)は、木更津の浜で、美しいお富(中村梅枝)と出会い、お互いに一目で恋に落ちる。
 
しかい、お富は囲われ者。逢瀬の現場を押さえられ、与三郎は、顔も体もめって斬りにされ、お富は海に飛び込みます。
 
三年後、お富は溺れたところを助けてくれた男の世話になっている。そこへ、蝙蝠安(笹野高史)と強請に来たのは、小悪党に変貌した与三郎だった・・・・。
 
七之助さんがお富ではなく、与三郎とういキャスティングに、ちょっと驚いたけれど、大店のボンボンらしく優男で、これが良かった!
お富は梅枝さんで、若手ではピカイチの方。姿も声もお芝居も好みです(≧∇≦)
お富は、したたかな女の人なんでしょうけど、男の人に頼って生きるしか道がないと思っているからいつも男の人に囲われている。
強いようで、実は弱いのね・・・。
 
二人で細工飴を食べながら、橋を渡っているシーンが好き。この時ばかりは、与三郎もお富も幼くて可愛い~。
 
 
与三郎は、お富と恋に落ちてから、34か所もめった斬りされて転落していく人生。
美しい顔が醜くなり哀れであるけど、人殺しもできるようになり心も変わってしまうのね~。
 
島流しになった後も、与三郎は、江戸恋しさ、お富恋しさに島抜けしたら、江戸は見知らぬ土地になっていて、お富はまた、別の男と暮らしている・・・。残酷な現実!
 
与三郎は、傷が治る薬を拒否して、傷を含めて、自分の人生をこのまま生き抜くと決める。優男の坊ちゃんが潔い男になっていましたね~。
斬り付けられたのも、もとはと言えば、旦那のいる囲われ者に恋しちゃったから・・・。自分でしたことだもの・・・。
 
目に見える傷ではないけれど、誰だって、傷つきながらもがいて生きているんだもの。与三郎は、その象徴のようなものなのね~。
(歌舞伎の本当の筋では、傷が治りお家再興というハッピーエンドですが、この取ってつけたようなめでたしめでたしでは、違和感しかありません・・・・。)
 
ラスト、与三郎、生きて!逃げぬいて~とそう思いました。いつもの美しい七之助さんではなくて孤独、焦り、虚しさ、意地、儚さ、強さを抱えた七之助さんは、与三郎そのものに見えました。
当たり前ですが男性なんです。それも飛び切りカッコイイ~。
この配役に感謝!
 
 
シアターコクーンを出て、暗い地下駐車場で、自分の車を見失い、駐車場内をうろうろしながら、貼られた切られの与三のポスターの与三郎と目があった気がしました。
「さ~あ、私も頑張ろう~」と誰もいない駐車場でそう思いました!