加齢なる一族(義姉、私)、十月大歌舞伎の昼の部を観に行きました音譜


昼の部

一、新版歌祭文




 野崎村にある久作(坂東彌十郎)の家では、娘のお光(中村七之助)が、かねてから慕っている久作の養子の久松(中村扇雀)いよいよ祝言をあげることになりました。
嬉しさを隠しきれないお光ですが、そこへ現れたのは、久松の奉公先の油屋のひとり娘お染(中村児太郎)でした。
かつて恋仲だった二人が、久作が暗に引き留めるのも聞かず、心中を覚悟していることを知ったお光は、自分は身を引き、髪を下ろして尼になる決意をします。
迎えに来た油屋の後家お常(片岡秀太郎)の配慮で、お染は舟、久松は駕籠と別々に去っていく姿を、涙ながらに見送るお光は…。
 


去年の8月の納涼歌舞伎で福助さんのお光を観たことが、思い出されて、病状は、どうなんでしょうね・・・。
その時、お染を演じていた七之助さんが、今日は、お光('-^*)/
七之助さんのお光、可愛らしくて、いじらしいわ合格
お染が現れてからのお光の意地悪の可愛いこと!「びびび~。」だもん( ´艸`)

児太郎さんのお染、いまいち・・・。
だって、お染は田舎では浮いちゃう美しさ、さすが大店のお嬢様だわ~という感じじゃあないとね!
ラストシーンは、野崎村の梅の咲く土手で見送るお光と父・久作。
駕篭で花道を行く、久松、そして、川に浮かぶ舟には、あでやかな振袖姿のお染と母・お常。
美しい別れのシーンです。
見えなくなったら、号泣するお光・・・。好きだから相手の幸せを願い身を引く、そんな健気な乙女心に、心がふるえます。





二、

上 近江のお兼
 




 琵琶湖のほとりに暮らすお兼(中村扇雀)は力自慢で評判の娘。
晒しを入れた盥を抱えて現れると、暴れ馬を難なく手なずけ、相撲の振りを見せたりします。
華やかに長い布晒しを捌くところが見どころ。
若者でいてうさんが出ています。

下 三社祭

 宮戸川(隅田川)のほとりでは、二人の漁師(中村橋之助・中村獅童)が川で網を打っています。
浅草寺にゆかりの深い縁起などを軽妙な踊りで見せた後、悪玉と善玉が二人に取りつき、悪尽くし、善尽くしの物語を踊ります。





三、伊勢音頭恋寝刃







 伊勢の御師(下級神官)の福岡貢(中村勘九郎)は、かつての主筋にあたる今田万次郎(中村梅玉)から、紛失したお家の重宝青江下坂の名刀探索の命を受け、見事取り戻します。
万次郎に刀を渡そうと貢は、伊勢古市の廓、油屋を訪れますが、行き違いになってしまい、その場に残った貢は止むなく刀を料理人の喜助(片岡仁左衛門)に預けます。

この油屋には貢と恋仲の遊女お紺(中村七之助)や、貢に想いを寄せているお鹿(中村橋之助)もいますが、お紺は、訳あって満座で貢に偽りの愛想づかしをします。さらに意地悪な仲居の万野(坂東玉三郎)にまで罵倒され、怒りのあまり貢がとった行動は…。

勘九郎さんの貢、なかなかの二枚目で、こういう二枚目もいつのまにか演じられるようになるとは・・・。
七之助さんのお紺も美しいし、兄弟で祖父・父の追善興行なんて、立派ですね!

愛想づかしは、歌舞伎ではよくありますが、裏切られたと早とちりした男が、女を殺すというパターンで、この「伊勢音頭恋寝刀」、縁切り狂言としては、珍しいハッピーエンド!!

梅玉さんが、ちらっとしか出ない万次郎、玉三郎さんが意地悪な万野、仁左衛門さんが味方の喜助、橋之助さんが一途なお鹿と豪華です!!

ここのところ、空席が目立ったりでしたけど、久し振りに歌舞伎座に活気がみなぎり、拍手も大きかったわ~。